“スーパーサイクル”に挑む東京エレクトロン

販売額は過去最高、生産能力倍増へ

 半導体製造装置・材料の国際団体である米SEMI(カリフォルニア州)の調査によると、2017年の半導体製造装置の販売額は、グローバルで16年比37%増となる566億ドルを記録。円換算で6兆円超と17年ぶりに過去最高を更新した。

 半導体製造装置で国内首位の東京エレクトロンは、山梨県や宮城県などに生産拠点を持つ。半導体業界がスーパーサイクルに入ったとみられる中、河合利樹社長兼最高経営責任者(CEO)は「(ウエハー上に回路材料の層を作る)成膜装置や、(ウエハー上に形成した薄膜を微細加工する)エッチング装置のマーケットが大きく成長している」と分析する。

 成膜装置の生産は、東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(山梨県韮崎市)が担っている。同社は「東京エレクトロン山梨」と「東京エレクトロン東北」が合併し、17年に誕生した。

 おう盛な装置需要に対応するための取り組みとして、山梨県の事業所で生産している枚葉成膜装置の一部を、岩手県の事業所でも1月から生産し始めた。

 一方、エッチング装置の生産を担うのは東京エレクトロン宮城(宮城県大和町)。約100億円を投じて、半導体製造装置の開発を行う「新開発棟」を建設しており、9月に完成する計画だ。

 東京エレクトロン宮城では、生産能力を向上させるための取り組みが進む。6月をめどにロボットや、部品を運ぶ自動搬送車をそれぞれ数台ずつ導入するほか、敷地外の事業所に保管していた部品を、1月に完成・稼働した「物流棟」に移動する。さらに生産ラインの増設により、10月までに「生産能力を2倍にする」(河合社長兼CEO)という。

 一方、半導体業界全体の課題となっているのが人材獲得だ。米SEMIが1月に「世界的な人材不足は1万人以上になるだろう」と発表するほど深刻な状況になっている。

 そうした状況下、東京エレクトロンは「業績連動報酬や、地元または地元の近くで世界最先端のグローバルな活動ができることを発信していきたい」(河合社長兼CEO)と、好調な業績や全国にある拠点を学生らにアピールしていく考え。

 IoT機器などで使われる半導体デバイスの高度化には、半導体製造装置の進化が欠かせない。河合社長兼CEOは「10年、20年、100年先の人の便利な生活を支えていく企業の一つが我々だ」と強調する。
(文=福沢尚季)

日刊工業新聞2018年4月13日

日刊工業新聞 記者

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04月16日
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半導体業界では、半導体需要が長期的に拡大し続ける「スーパーサイクル」に入ったとの見方が強まっている。半導体は夏季オリンピックが開催される年の前後に需要のピークを迎え、その後一気に落ち込む―といった変動を繰り返す「シリコンサイクル」が起こることで知られる。だがIoT(モノのインターネット)などの技術革新により、半導体製造に必要な装置や部材の需要が増えている。生産体制を強化する各社の取り組みを探る。初回は東京エレクトロン。
(日刊工業新聞第一産業部・福沢尚季)

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