ゆうパック、乳製品、納豆、ビール、ワイン…。物価上昇どこまで

賃上げ効果かきけす

 製品・サービスの値上げが相次いでいる。需給を反映した値上げではなく、人手不足に対応した人件費の増額や原材料費の高騰といったコスト圧力による“悪い物価上昇”といえる。業種はエネルギー、物流、食品など多岐にわたる。安倍晋三政権は2018年春闘で賃上げ率3%以上の実現を経済界に求め、一定の成果を上げつつある。だが相次ぐ値上げが賃上げ効果を緩和させかねず、消費者マインドの回復が遠のく可能性がある。

 電力大手10社と都市ガス4社は足並みをそろえ5月も値上げを実施する。料金引き上げは3カ月連続。値上げ幅は標準家庭で電気が月額89―133円、都市ガスが同28―43円。原燃料価格上昇に加え、電気料金には再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に伴う賦課金が60円程度上乗せされる。

 日本郵便は3月1日から宅配便「ゆうパック」の基本運賃を引き上げた。昨秋以降、宅配大手のヤマト運輸、佐川急便が相次いで引き上げており、宅配大手3社の足並みがそろった。企業間物流でもJR貨物が10月1日に基本運賃の賃率を改定する。物流各社は法人向けの各種料金を年契約、相対で交渉する場合が多く、業界全体として今春の契約更新は値上げの方向だ。

 賃金水準が低く、高齢化が進む物流業界が人材不足に対応するには、労働環境や待遇の改善が欠かせない。

 食品業界も値上げが相次ぐ。ビール大手4社のうちアサヒビールは3月、他の3社は4月1日出荷分から業務用ビールを値上げ。安売り規制への対応と物流コスト上昇を受けた措置だ。ワインも値上げされキリンビールはメルシャン約30品目を4月から値上げし、原材料高騰に対応した。

 森永乳業は5月から家庭用チーズ商品、ミツカンは人件費の高騰を受けて6月から納豆「金のつぶ」10品を値上げする。ネスレ日本は物流費高騰で4月に「ネスカフェ」製品の一部を値上げした。

 外食業界では松屋フーズが運営する「松屋」で今月3日、牛めしや定食を値上げ。原油価格上昇や政府による輸入牛肉への緊急輸入制限発動、野菜高騰、人手不足による人件費上昇が背景にある。

 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「本来、値上げは需給で決まるが、今回はコスト・プッシュ圧力が噴出した形だ。18年春闘をある程度評価しているが、今回の値上げが家計の購買力に影響を及ぼす可能性がある」とみる。

日刊工業新聞社2018年4月19日

平川 透

平川 透
04月20日
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圧倒的な賃金上昇を望んでいます。

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