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孫請けの映像制作会社も倒産に追い込む、パチンコ規制強化

新機種のリリースが減少、トラブルも拍車
 かつては娯楽産業のけん引役として存在感を示していたパチンコ業界。しかし、近年は度重なる法規制の強化により、パチンコホールの収益性が悪化。2017年の倒産件数は、前年の水準を上回る21件にのぼっており、厳しい業界環境がうかがえる。

 こうしたなか、ハイブアーツという映像制作会社が倒産した。負債額は約8100万円。比較的小規模な倒産だが、破産の申立書には「パチンコ業界の不振が倒産へと追い込んだ」という旨の記載もなされており、業界内ではちょっとした話題になっている。

 設立は13年2月。創業者がパチンコ機やパチスロ機など遊技機のプログラミングを担当していた経験を生かして営業を開始した。同社が制作に携わった映像が、遊技機のディスプレーで流れていた。受注の形態は、孫請け業務であったが、定期的に受注を受けていた。そのほか映画やゲームのCG制作業務も受注しており、15年1月期には売上高約1億1900万円を計上していた。

 だが、15年頃よりパチンコ業界における規制強化が進み、風向きが変わった。クギ問題など射幸性に関する規制が騒がれるなか、遊技機メーカーも新機種のリリースが減少。下請、孫請け業者は受注を得づらい状況に置かれるようになった。さらに、納期遅延などのトラブルが発生。トラブル対応で外注費がかさんだことが契機となり、17年9月頃より各種税金や社会保険料の滞納が発生するようになった。以降は綱渡りの資金繰りが続いていたが、18年1月に給与すら支払えない状況に陥り、1月31日に事業を停止し、3月7日に破産手続き開始決定を受けた。

 今後は、業界不振が騒がれるなかパチンコホールの倒産だけでなく、ハイブアーツのような遊技機製造に携わる企業の倒産が増加していくことが懸念される。
(帝国データバンク情報部)
日刊工業新聞2018年4月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
18年2月にも新たな出玉規制が実施されました。ギャンブルとしての魅力の低下がそのまま関連産業の業績に影響するだけに、生き残るための事業戦略の実施が急務でしょう。 ハイブアーツのウェブサイトはもう見れませんでしたが、ある求人サイトに少しだけ情報が残っていました。主要取引先を見ると、色々なジャンル・業界の制作会社と関わっていたようで、一見すれば事業ポートフォリオのバランスは良さそうでしたが、取引金額ベースで見たときには、パチンコ業界の割合が大きかったのでしょうか。推測ですが。

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