【簡単解説】自動運転のカギとなるセンサ「LiDAR」

 18年3月、アメリカの配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズが公道実験中に歩行者をはね死亡させた事故は未だに鮮明です。この事故を受けてトヨタ自動車やエヌビディアなど、自動運転開発に関わる企業が公道実験の中断を発表しました。交通事故の減少が期待される技術だけに衝撃も大きく、開発の遅れも懸念されています。

 海外報道の中に、事故を起こした実験車のLiDAR搭載数が減ったことを指摘した記事がありました。このことが事故の原因であるかどうかは今後の調査発表を待つとして、「そもそもLiDARって何?」と思った方も多いのではないでしょうか?

 LiDARとはセンサの一種です。Light Detection and Rangingの頭文字をとった名称で、日本語にすれば「光の検出と測距」でしょうか。搭載した自動車周辺の物体と距離を把握できるため、自動運転に応用するセンサとして期待されています。

 この記事では、日刊工業新聞社が18年3月に刊行した書籍「トコトンやさしい自動運転の本」(日産自動車(株)総合研究所クライソン トロンナムチャイ 著)から一部抜粋し、LiDARの解説をします。

「トコトンやさしい自動運転の本」より


 従来では物体までの距離をレーダーで測って、車線をカメラで検知していたので別々のセンサが必要でした。LiDARと呼ばれるセンサはこの両機能を1つで実現でき、Googleが開発中の自動運転車にも搭載され、物体と車線などの道路環境との位置関係も正確にわかるので自動運転に使いやすく、大きな注目を集めています。

 LiDARとは、パルス状の赤外線などのレーザー光を走査しながら対象物に照射し、その散乱や反射光を観測することで対象物までの距離と対象物の反射率の両方を同時に計測できるセンサです。元々、飛行機などから森などを観測するリモートセンシングに使われていましたが、走査機構の小型軽量化が進み、車に応用できるようになりました。

 LiDARから得られる生データは点群と呼ばれる多数の3次元座標の集まりで表現されています。点群データのままで処理や認識をすれば精度を高くできますが、その手法が従来の画像処理に比べるとまだ少なく、一旦特定の方向から見た2次元画像データに変換する方法も使われています。

 LiDARは複雑な走査機構が必要なためにレーダーやカメラに比べると大変高価です。MEMS技術を応用したりステレオカメラで同等の機能を実現したりしてコストを低減する努力が続けられています。
(本文より)

「CASE」を知るために


 自動運転技術は、LiDARをはじめとするセンサや深層機械学習、画像認識技術、ダイナミックマップ、ヒューマンマシンインターフェースなど、様々な技術が組み合わさることで実現しています。従来から発達してきた運転支援システムなども関わっています。

 「トコトンやさしい自動運転の本」は自動運転を構成する要素技術やシステムの全体像を入門者向けにやさしく解説しています。自動運転の価値や技術の現状を掴める68トピックを見開き構成で紹介、図面も豊富です。著者のクライソン氏は日産自動車で自動運転や電気自動車の研究に長く携わる現役エンジニアです。

 現代の自動車を語るためのキーワードに「CASE」があります。Connected(つながる車)、Autonomous(自動運転)、Shared(カーシェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとったものです。この中の一つ、自動運転がどのような仕組みで成り立っているのか、何が課題でこれからどうなっていくのか、ぜひ本書で確認してみてください。
(文=平川透)

「トコトンやさしい自動運転の本」
クライソン トロンナムチャイ 著
日刊工業新聞社 発行
2018年3月 刊行
1500円(+消費税)
A5版、160ページ、本文2色刷り
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00003288

ニュースイッチオリジナル

平川 透

平川 透
04月08日
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自動車メーカーから見た人工知能、ソフトウェア業界から見た車、安全や倫理に関わる問題をどうしていくかなどなど、自動運転に関わる興味深い話は多岐にわたります。

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