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疾走するロボットタクシーの風雲児「ZMP」はどこまで突き進むのか

ロボタク「2025年には10万台」へ。乗客向けの無人運転、多くのパートナーを引き寄せる
疾走するロボットタクシーの風雲児「ZMP」はどこまで突き進むのか

ロボットタクシーで乗り降りしやすいミニバン型自動運転車の実験を進める(ZMPのラボ)


谷口恒ZMP社長インタビュー「グーグルなど他社のしていることは興味がない。信頼積み重ね国を動かす」


 ―DeNAをパートナーに得て、従来の技術開発からサービス開発に前進した印象を受けました。
 「もう自動運転の技術競争、技術自慢は終わりでいい。完璧という意味ではないが、実用化に向けて不具合や使い勝手の悪さを一つずつつぶす段階。大事なのは技術ではなく、サービスにできて初めて便利になる。DeNAはユーザーになじむものにしてくれる。(技術をサービスに昇華する)IT企業と組むことは、09年に10分の1サイズの研究開発用ロボカーを販売する時から必要と考えていた。ようやくかなった」

 ―自動運転車の実現には規制や利用者心理の課題もあります。
 「規制緩和がキャッチフレーズとなり、追い風の状況だが、完全自動運転の実現には最後の一踏ん張りが必要だ。それは世に出す責任を誰が取るか。失敗すればトップの首が飛ぶため、あまり誰もやりたがらない。その責任をロボタクで取ろうと思う。実際に車を出し、見て、使ってもらう。信頼を積み重ねて国が変わるしかないところまで持っていく。一つひとつやれば、きっと実現できる」

 ―既存業界と共存できますか。
 「雇用を奪うような急な変化は考えてない。既存のタクシー経営が成り立たない地域から段階的に入る。こうした地域はすでにあり、運転できない高齢者などは困っている。都心も今はいいが、タクシードライバーが高齢化し、20年後、30年後は大丈夫だろうか」

 ―他社の動向をどう見ていますか。
 「米グーグルなど他社のしていることには興味がなく、知らない。誰かのまねでなく、楽しく便利なライフスタイルにつながることを思いつく限り自分でつくりたい。アイデアを生む刺激はテクノロジーと人。日頃、興味や問題意識を持ち続け、刺激を受けて点と点がつながると興奮する」
 (聞き手=梶原洵子)
日刊工業新聞2015年07月06日最終面「快進撃のケーススタディー」
中島賢一
中島賢一 Nakajima Kenichi
ZMPの谷口社長にお会いしたことがありますが、情熱を技術で夢を実現しようとされるイノベーターでした。ビッグデータも活用したハイテクノロジーな車の実現に大きな期待を寄せています。

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