ANAがアバター事業で狙うこと、時間と距離超える“瞬間移動”

「世界のライフスタイルとして提供していきたい」

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アバターによりサービス創出や社会課題解決も視野に入れる(遠隔地の海に潜って貝を採るデモンストレーション)
 ANAホールディングス(HD)は、時間や距離、文化などの制限を超えられる分身ロボット「AVATAR(アバター)」事業に着手する。アバターとはロボティクスや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、各種センサー・通信、ハプティクス(触覚)など技術の融合で実現する疑似的な“瞬間移動”の手段。サービスの創出だけでなく、社会課題の解決も視野に入れる。

 ANAHDが29日、羽田空港で開いたサービス説明会では、遠く離れた海での釣り体験や水族館で館内を動き回り鑑賞する体験、海に潜って貝を収穫する体験などを披露した。今秋にも実証実験に入り、2019年春にも一部サービスを実用化する計画だ。

 専用アプリケーション(応用ソフト)「アバターイン」を作り、世界各地で開発されるサービスをつなぎ、アバター市場でのプラットフォーマー(基盤提供者)を狙っていく。

 パートナーづくりも重要だ。高性能のアバター開発を競う賞金レースに関与し、技術革新を促進。異業種や大学と連携し、既存技術の融合でサービス創出に取り組む。開発資金の調達も支援する。大分県と連携して農業、漁業、医療など実証試験場を確保。採掘場跡に宇宙環境を模した施設を建てて宇宙開発への展開も見据える。

 航空会社は従来、大量に人を輸送するビジネスモデルだ。自宅での釣りを体験した顧客が、釣った魚を自宅に送ったり、現場に足を運ぶきっかけになるなど航空ビジネスとの相乗効果も見込めるという。一方で人の意識や思いを瞬時に転送する市場は、未知の可能性を秘めているものだ。

 アバターで遠隔地の作業や医療、教育、体験など現場に赴かなければできなかったことも実現できる。技術革新と普及には社会的な意義も高い。

日刊工業新聞2018年3月30日

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ANAHDは超スマート社会の実現に向けた取り組みの一つと位置づける。発表会で片野坂真哉社長は「これからの世界のライフスタイルとして提供していきたい」と意気込みを示した。 (日刊工業新聞第二産業部・小林広幸)

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