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金目鯛にみる、がつがつしない千葉の県民性

「銚子や勝浦沖のキンメは日本一」、意外と知らないブランド力
 金目鯛の旬は冬から春。漁場の北限は千葉・茨城の沖だが、その銚子沖で一匹ずつ釣り上げる『つりきんめ』が珍重される。底引き網と違って傷がつかない。近所のすし屋の主人は「銚子や勝浦沖のキンメは日本一」と、値段が高くても仕入れる。

 皮と身の間に、うま味のある脂が乗っている。刺し身や煮付けが普通だが、しゃぶしゃぶもいける。皮は焼いてワサビじょうゆ、もしくは湯引きしてポン酢じょうゆで頂くと酒が進む。頭と骨でだしを取った雑炊も美味。

 2006年6月には地元・千葉県の「地域ブランド水産物」の認定第1号に選ばれている。ところが県民の認知度は、いまひとつ。『つりきんめ』は知っていても、それが県外でプレミアムとなっているのは意外なようだ。

 海面漁業の漁獲量全国7位という千葉県。脂の乗ったキンメが当たり前と思われているのはうらやましいが、どうもおっとりしていて、がつがつしない県民性のせいらしい。

 趣味の釣りで各地を訪ねるたびに、自然の恵みに対する評価を地元が知らないケースに出くわす。もったいないと思う。既存の地域資源を棚卸し、再検証してはどうだろう。外国人旅行客に指摘されてから日本の魅力に気づくようでは情けない。
日刊工業新聞2018年3月28日
土田智憲
土田智憲 Tsuchida Tomonori かねひろ
 今あらためて、自分たちの市場に、自分たちでもう一度手を入れることが必要とされてきているように思う。自分たちのビジネスモデルをまわしたときに、社会・経済システムにどのような変化を起こしているのか。その結果自分たちの市場の土壌は、ちゃんと肥沃な状態でいられるのか。一方通行でなく、自分たちがシステムの一部になったときに、価値がループして自分たちに戻ってきているのか。  社会のシステムの循環をつくる装置としてのビジネスモデルをつくることが、特に中小企業に必要とされている。「ソーシャルビジネス」がビジネスの主流のなかで、普通に叫ばれるようになったのには、こうした背景があるのではないかと思います。

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