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3Dプリンターと真空注型技術を使った訓練用臓器が広がってきた!

JMC、消化器系を投入
3Dプリンターと真空注型技術を使った訓練用臓器が広がってきた!

内視鏡で留置状態を確認できる胃ろう交換モデル

 JMCは3Dプリンターと真空注型技術を組み合わせ、軟質の臓器を忠実に再現する「医療モデル作製事業」を拡大する。従来の心臓手術用トレーニングキットに加え、消化器系の作製を始めた。今後も臓器の種類を増やし、5年後に売上高1億―2億円の事業に成長を目指す。

 JMCは第1弾として「胃ろう交換シミュレーター」を2017年11月に発売。内視鏡を使い胃内に医療器具が留置しているかどうかを確認する仕組みだ。栄養を胃内に直接投入するための管を交換する練習ができる。

 15年に厚生労働省の「特定行為に係る看護師の研修制度」が施行され、看護師による器具の交換が可能となったため開発した。留置構造を目で見て理解する透明モデルと、粘膜の色を模した有色モデルがある。専用ケースは側面を開閉でき、作業を他人が確認することも可能。

 大阪大学などと共同開発したカテーテル操作を練習できる心臓手術トレーニングキット「HEARTROID(ハートロイド)」の製造技術を応用し、自社開発した。販売価格は35万円(消費税抜き)。販売目標は3年間で30台。

 同社は3Dプリンター出力や鋳造を柱とし、16年11月に東証マザーズに上場。鋳造の過程で必要なコンピューター断層撮影装置(CT)を使うCTスキャン事業にも参入し、拡大を目指す。
日刊工業新聞2018年3月13日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
医療技術が発展する中、医療関係者の技能の習得は不可欠。実際の臓器に忠実なトレーニングモデルが、高度な技術をより安全に提供することに貢献しそうだ。

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