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コンビニ向け野菜洗浄システム、オゾンの秘密

製品化したライオン子会社、塩素使わず味の低下や防ぐ
コンビニ向け野菜洗浄システム、オゾンの秘密

ライオンハイジーンの野菜洗浄システムがカットしたキャベツを洗浄・殺菌

 ライオン子会社のライオンハイジーン(東京都墨田区)は、独自技術を用いた野菜洗浄システムの販売に乗り出した。共働きや単身世帯の増加により、キャベツを中心にカット野菜の国内市場規模は2020年に3500億円に伸びると推定。それに伴い食品工場向けの野菜洗浄剤の市場規模は約35億円になるとみており、洗浄機や洗剤を含むシステムの導入について、コンビニエンスストアやスーパー向けを開拓する。

 ライオンハイジーンの野菜洗浄システムが17年10月、大手コンビニ向けとして初めて稼働した。納入したのはコンビニ向けにカット野菜などを供給する食品製造会社。一般的にカット野菜の工程は(1)野菜本体の洗浄・殺菌(2)異物や虫の除去(3)食べるサイズにカットされた野菜の洗浄・殺菌・すすぎという流れがある。

 同社の野菜洗浄システムでは、一部では塩素を使うがマイクロバブル化したオゾンでカットした野菜を洗浄・殺菌するのが特徴。宮坂広夫取締役企画開発部長は「業界スタンダードを目指したい」と話す。カット野菜の製造には主に塩素などの殺菌料が使用されており、野菜の味の低下や色の変質、におい残りなどの課題があった。そこで、細胞壁を壊さないオゾンに目をつけた。

 オゾンガスをマイクロバブル化することで、低濃度でも殺菌力が高まる。またマイクロバブルは水面に向かって上がる速度が遅いため、滞留時間が長く、その分洗浄時間の増加につながる。塩素で殺菌するよりもカット野菜の味や色が保たれる。家庭で水道水を使って野菜を洗浄した場合と近い品位になる。

 洗浄システムにはオゾンの吸引システムを設置。作業環境における安全性にも配慮した。宮坂取締役企画開発部長は「カット野菜のみならず、今後は肉や魚などにも展開できるのではないかと考えている」と話す。

日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
コンビニでおかずや食材を買う人が増えるといった消費動向の変化をとらえながら、食品全体での洗浄システムに応用できないか模索する。 (日刊工業新聞第二産業部・高島里沙)

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