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三菱電機が社長交代へ、売上高「5兆円超」に向けての課題は?

杉山副社長の昇格固まる
三菱電機が社長交代へ、売上高「5兆円超」に向けての課題は?

杉山次期社長

 三菱電機は4月1日付けで杉山武史副社長(61)が社長に昇格する人事を固めた。柵山正樹社長(65)は会長に就く。21日の取締役会で正式決定する。杉山氏は自動車機器や通信、生産技術部門などを経て、現在は空調や家電の家庭機器部門を統括している。同社にとって過去最大のM&A(合併・買収)となったイタリアの空調機器メーカーの買収後の統合プロセスなどで手腕を発揮した。

 柵山氏は2014年に就任。堅実なバランス経営と成長の両立を目指し、粒子線治療装置事業の売却など事業組み替えを実施する一方、競争力の高いFA機器や空調などに対する投資を積極化した。2018年3月期連結決算は、売上高と利益で過去最高を更新する見込み。

 同社は創立100周年を迎える21年3月期までに売上高5兆円(18年3月期予想比13・1%増)以上、営業利益率8%(同0・6ポイント増)以上を目指している。これまでの投資の刈り取りと、次世代の成長柱の発掘が課題となる。
【略歴】杉山 武史氏(すぎやま・たけし)79年(昭54)名大工卒、同年三菱電機入社。11年リビング・デジタルメディア事業本部副事業本部長、14年常務執行役、16年専務執行役、17年執行役副社長。岐阜県出身。
日刊工業新聞2018年2月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
三菱電機は4年ごとにきっちり社長が代わる。社長の条件は2つの事業部門とコーポレート部門を一度経験していること。その点で杉山さんは大本命の一人だった。18年3月期の売上高予想は4兆4200億円で半導体が連結から外れ3兆円台になる東芝も抜く。「総合電機」という言葉は死語に近いかもしれないが、三菱電機は今、もっともその言葉を体現している会社かもしれない。 柵山体制の4年間は5兆円に向けた投資を行ってきた。ただ現状はその伸び方が今一つという印象もある。杉山さんはその刈り取りを託されることになる。今は家電の部隊を率いているが、もともとは自動車機器が長い。自動運転や電動化などで自動車関連事業をどこまで成長させられるかにも注目したい。あとは主力のFA機器がIoTの潮流の中で「ガラパゴス化」しないハンドリングも重要になる。

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