型破りな地銀「大垣共立」、アイデアの源泉とは?

土屋嶢頭取に聞く「従来型業務を行う行員は全体の3割でいい」

 ―東海3県の経済動向は。
 「景気が回復基調にあるのは間違いない。一方で人手不足は深刻で、やむを得ず仕事を断る企業も出ている。資金需要は老朽設備更新などで出ているが企業ニーズは多様化している。求められるのは情報の仲介役。事業継承やM&A(合併・買収)のコンサルティング業務に力を入れる」

 ―岐阜県内にある農場を命名権取得やシンクタンクでの経営指導で支援しています。
 「『脱・銀行』を掲げ、異業種との共同事業を通じて金融の枠を超えたアイデアを実現していく。銀行色が出にくい『OKB』という愛称をブランド展開している。施設命名権取得だけでなくチョコレートやコメなどの連携商品も増え、OKBブランドは約130に達した。企業が元気になれば地域が活性化する。ブランド力を高め成功事例を生み出す」

 ―1年間、異業種に若手行員を派遣する研修を実施しています。
 「100人超がホテルなどで学んだ。製造業への派遣は生産プロセスを理解でき、ビジネスマッチングする際に欠かせない経験になる。コンビニエンスストアへの研修経験者の発案でコンビニ仕様の銀行店舗も開発した。広い視野を持つ人材を育て多様な事業に取り組む。銀行は規制が多いが、その中でもやれることはある。将来的に従来型業務を行う行員は全体の3割でいいかもしれない」

 ―名古屋市内の新店舗で手のひら生体認証で使える全自動貸金庫を導入。窓口や現金自動預払機(ATM)取引も手のひら認証に対応しフィンテック店舗として訴求しています。
 「手のひら認証を先駆けて導入し登録者は50万人を超えた。シンクタンクにフィンテック戦略室を設けサービス研究を進めている。17年末にスマホアプリを活用した決済サービスを手がけるOrigami(東京都港区)にも出資。フィンテック分野は金融以外からも攻めてくるが自行エリアはしっかり守る。課題も多いが、やりがいのある時代がやってきた」
大垣共立銀行頭取・土屋嶢氏

(聞き手=岐阜・伊藤吉登)

日刊工業新聞2018年2月8日

日刊工業新聞 記者

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02月10日
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岐阜県の指定金融機関を務める有力行。年中無休のATM、ドライブスルー店舗など全国金融機関初のサービスを次々実行。型破りなアイデアの根っこは土屋頭取が常に意識する「顧客目線」。「独自の文化が失われる」と、金融再編には距離を置く。地銀を取り巻く環境は厳しいが次の一手を期待させる行風は大きな武器だ。
(日刊工業新聞岐阜支局長・伊藤吉登)

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