マイナス金利1年。苦境の地銀、再編の外堀埋まる

「自力で活路を見いだすのは難しい」

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マイナス金利政策導入について会見する黒田日銀総裁(昨年1月29日
 日銀が異例のマイナス金利政策を導入して間もなく1年が経つ。設備投資や個人消費を促す“呼び水”と期待されながら「経済の好循環」は実現せず、デフレ脱却の道筋は依然みえない。

 金融機関はマイナス金利の打撃に苦しむが、特に厳しいのが地方銀行や信用金庫だ。みずほ総合研究所の試算では貸出金利回りや有価証券利回りの低下が続く場合、地銀の20年3月期の実質業務純益は16年3月期に比べ4―5割落ち込む。

 地銀幹部は「金融庁からは、目利きをいかして貸し出しを増やせ、と発破をかけられているが、自力で活路を見いだすのは難しい」と漏らす。国内の預貸業務への依存が大きく、メガバンクに比べて事業領域も運用手法も限られる。

 「地域金融機関からの相談が格段に増えている」。三菱UFJ信託銀行の池谷幹男社長はマイナス金利政策導入以降の変化を語る。

 低金利下で運用難に苦しむ地銀や信金への私募投信の販売が急拡大。マイナス金利政策導入後の約10カ月で金額ベースで前年同期の約3倍に達した。17年度も増加傾向は続く見通しだ。
                  


改正銀行法がさらに後押し


 「メガバンクや同じ地銀には相談しづらいシンジケートローンの組成も当行には話がしやすいのでは」と語るのは東京スター銀行の宮地直紀執行役だ。

 同行は第二地方銀行だが台湾資本傘下で外国の投資銀行やメガ出身者を抱える異色の存在。地銀が自行単独では組成が難しいシンジケートローンを共同で組成したり、ノウハウを提供したり、地銀からの引き合いに応じる形の案件が急増している。

 マイナス金利政策導入以前から金融機関は低い利ざやに苦しんでいた。収益拡大路線を維持できたのは、リスクをとらず、与信コストを抑えていたからに過ぎない。マイナス金利政策で利ざやがさらに縮小すれば、経費削減を徹底し、これまで以上に「安全運転」を選ぶ銀行も出てくる。経営統合で規模のメリットを追求して、合理化を模索する動きも増える。

 全国地方銀行協会(地銀協)の中西勝則会長は「再編は増えていく」と語る。

 17年に改正銀行法が施工されれば、金融グループ内の重複業務の集約や、グループ内の資金融通を容易にできるようになる。再編の外堀は確実に埋まりつつある。

日刊工業新聞2017年1月26日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

1990年度から2015年度までの金融機関の数は、都市銀行が12行から5行、信用金庫と信用組合は計859から418へと半分以下となっているのに対し、地方銀行と第二地方銀行は計132行から105行へと2割程度しか減っていない。マイナス金利政策がなくても金融庁は再編への仕掛けを進めていた。それが早まっただけ。ただ再編によって、本来の役割である地域活性化がおろそかになっては困る。

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