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「マジックテープ」ナイロンからポリエステルへ完全移行。何が良い?

環境特性など差別化、生産工程も短縮
「マジックテープ」ナイロンからポリエステルへ完全移行。何が良い?

ポリエステル製の「マジックテープ」

 クラレファスニング(大阪市北区、田野倉孔社長、06・7635・1870)は、面ファスナー「マジックテープ」の素材をナイロン製からポリエステル製へ完全移行した。現在のナイロン製では中国や東南アジアのメーカーと価格競争で勝てないと判断、独自の生産工程で環境特性や耐熱性に優れたポリエステル製の面ファスナーで差別化を図る。同社は面ファスナーで国内シェア(数量ベース)で6割強を占めており、今後もトップを堅持していく。

 クラレファスニングはポリエステル製素材への移行に合わせ、溶剤・非溶剤系を問わずバックコート剤(補強剤)が不要の生産体制にした。面ファスナーは着脱の繰り返しに耐えられるよう、フック部分とループ部分を補強する必要がある。バックコート剤の代わりに熱で溶ける繊維を使って補強する。従来のナイロン製と比べて生産工程も短縮できる。

 ポリエステルは耐熱性、耐水性が特徴。ポリエステル素材の課題だった適度な柔らかさについて、新しい糸を開発するなどして克服した。またナイロンと比べて原料価格の値動きが安定していることも強みにする。

 バックコート剤を使わない利点をアピールしながら、他素材も取り入れて面ファスナーの用途開拓を進める。同社の海外売上高比率は5%程度だが「航空機、自動車、メディカル関係への展開を強化し、早期に2ケタへもっていきたい」(田野倉社長)としている。
日刊工業新聞2018年2月7日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
クラレファスニングだけでなく、各社がポリエステル製のやわらかな面ファスナーが展開されています。

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