眼科用医療機器×IT、遠隔診断で課金

トプコンがモデル研究、「アイケアからヘルスケア」へ

 トプコンは眼科用医療機器と情報通信技術(ICT)を組み合わせた事業モデルの構築を進める。機器をクラウドでつなぎビッグデータ(大量データ)を収集・分析。これを遠隔診断など課金型サービスとして展開する構想だ。2017年4月には米国に専門会社を設立し、研究を始動した。高齢化を背景に世界的に目の病気の予防ニーズが高まっており、この需要を取り込む。

 新会社の「トプコンヘルスケアソリューションズ(THS)」は、トップにアクセンチュア出身のITの専門家を招き、画像処理システムの開発部隊を組み入れた。陣容は数十人規模で、病院の眼科や人間ドック、眼科クリニックなどをネットワークで結び、ビッグデータを分析、活用して遠隔診断や診断支援といったソリューション事業を展開する。

 18年度中に課金型モデルを確立し、まず眼科用医療機器で世界最大市場の米国でサービスを始め、その後、世界市場に展開する計画だ。荻野滋洋執行役員営業本部副長アイケア担当は「19年度からの次期中期経営計画で一気に飛躍させたい」と意気込む。

 同社の眼科医療事業(アイケア事業)では検査・診断・治療機器が主力だ。健康診断・スクリーニング(選別検査)などの予防や予後管理などの事業領域拡大が成長のカギだ。「既存の事業領域の世界市場規模は約2500億円。これを予防・予後に広げられれば、市場規模は約5000億円に倍増する」(荻野執行役員)。

 特に目の病気の早期発見や医療経済性の向上に向けて、スクリーニングの重要性が世界的にも増している。欧米では「オプトメトリスト(検眼医)」と呼ばれる専門医が眼科医療の一翼を担い、眼底カメラや光干渉断層計(OCT)を使って検査を手がける。健康への意識の高まりでオプトメトリストの役割も増している。「裾野が広がる中で課金ビジネスが成り立つ」(同)とみている。

 ソリューション事業は米国で立ち上げるが、期待は新興国だ。中国やインドでは糖尿病が多く、緑内障や白内障など目の病気にも関係する。「予防の重要性への認知も進んでいる。成長率は他の地域よりも高いのは間違いない」(同)。

 実際、健診・スクリーニング市場向けのOCT「マエストロ」の販売は好調で、研究・医療現場向けのOCT「トリトン」も高付加価値検査を求めるスクリーニング市場からの引き合いも強まっている。だが、新興国市場では競争も激しい。機器は核だが、ハードとソフトを組み合わせたソリューションが競争力の決め手となり、この中でビッグデータ活用も不可欠な技術だ。
健診・スクリーニング市場で展開している光干渉断層計(OCT)「マエストロ」

(文=村上毅)

日刊工業新聞2018年1月29日

村上 毅

村上 毅
01月30日
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目は体に傷つけることなく血管が見られる部位。血管の診断で、「目だけでなく、体の病気の疑いも見つかるようになる」(同)。ソリューション事業は多様な事業のプラットフォーム(事業基盤)になり得る。「アイケア」から「ヘルスケア」へ。事業の視界も広がっていく。

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