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「サーボとロボット、2年かけて事業間の垣根をなくした」(安川電機社長)

小笠原浩氏に聞く「最高のロボットを開発するため」
「サーボとロボット、2年かけて事業間の垣根をなくした」(安川電機社長)

小笠原浩社長

 ―2018年の市場環境をどう見ていますか。
 「サーボモーターで悪い地域はない。特に米国は半導体、中国はスマートフォン、家電製品、一般機械向けの設備需要がけん引する。インバーターは省エネルギーをキーワードに中国などで堅調に推移する。産業用ロボットは日米欧で自動車産業向けが堅調。中国では人手不足や賃金上昇を背景に工場の自動化や省人化需要が続く。サーボとロボットは年により伸び率に差はあるが、25年まで成長が続くと見ている」

 ―世界でサーボモーターなどのモーションコントロール事業とロボット事業の連携を強化しています。
 「当社はロボットに搭載するサーボモーターを自ら手がけ、工作機械や半導体製造装置などの生産設備向けにも外販する。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の活用で、ロボットと周辺の生産設備を協調して、全体の生産を効率化することが求められている。一方、機械メーカーが、機械とロボットを組み合わせて顧客に提供するようになり、サーボの営業がロボットも提案するなど、両製品を手がける強みをいかせる体制を構築している」

 ―事業間の連携は開発部門など技術系が先行しています。
 「14年に技術開発本部長を担当した時に、事業間の垣根を取り払った。技術系にはいわゆる“ロボット屋とサーボ屋”があり、以前のサーボ屋はロボット屋の言われたままの製品を納めていた。そうではなく『一緒にロボットを作ろうや』と。最高のロボットを開発するため、必要なサーボモーターとは何かを互いに追求する。そのために2年かけて、事業間の垣根をなくしていった。こうした動きが営業系に波及したのが現状で、これまで変わらなかった組織を急には変えられない」

 ―生産設備の稼働データを収集分析し、生産性の向上などに生かす「アイキューブメカトロニクス」の取り組みを本格化します。
 「ロボットや工作機械、コンベヤーなどの生産設備には、当社のサーボモーターやインバーターが搭載され、各設備の稼働データを細かく把握できる。また工作機械の熱変位を把握するため搭載する温度センサーなど、各種センサーとサーボのデータを同期して収集できるネットワーク技術も開発した。工場や生産ライン全体ではなく、あくまでロボットや機械などで構成するセル単位のデータをいかすのがアイキューブメカトロニクスで、この領域でできることを積み上げてお客さまに貢献する」
(聞き手=西沢亮)
日刊工業新聞2018年1月25日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
半導体市場向けに提供するウエハー搬送用ロボットや、製造装置に組み込むサーボモーターは、これまで各製品を手がける事業部ごとに営業していたが、販売機能を統合するなど事業間の連携を強化する。こうした市場や顧客視点の営業への要望は、IoTの進展で高まることが予想され、従来の製品個々の高い競争力を顧客に応じて最大化できるかが注目される。 (日刊工業新聞第一産業部・西沢亮)

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