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「今、顧客が求めているのは製品よりも企業活動の変革だ」(コニカミノルタ社長)

山名昌衛氏に聞く。業容転換で「課題提起型デジタルカンパニー」目指す
「今、顧客が求めているのは製品よりも企業活動の変革だ」(コニカミノルタ社長)

コニカミノルタ公式ページより

 ―2018年の市場環境をどうみていますか。
 「世界経済は堅調な状況が続く。先進国の複合機市場は成熟しているが、中国などでは規模が拡大している。かつてのような高い成長率でなくても大切な市場だ。一方、IoT(モノのインターネット)を使った技術革新は、これまでと違うレベルで起きる」

 ―複合機などをデータ処理の中核とするエッジIoTプラットフォーム『ワークプレイスハブ』の提案状況は。
 「ワークプレイスハブは当初予定より遅れたが、18年から本格的に開始できる。現在、ユーザーに具体的なサービスなどを提案し、フィードバックをもらっている。製造業や流通・小売りなどさまざまな業種で、業務効率化や人間の創造性を高めるソリューションを提供する」

 ―日本の産業界で働き方改革が求められています。
 「人材の能力をいかに引き出すかは、各社トップにとって優先順位の高い課題だ。世界と比較して日本は1人当たりの生産性が低く、働き方改革が必要だ。当社は長時間労働の削減や育児・介護との両立など、かなり細かく環境を整備した。社員も生産性の上がる働き方を考えなくてはならない。会社と社員が粘り強く取り組み、双方が成長する」

 ―17年に医療分野で2件のM&A(合併・買収)を実施しました。今後の考えは。
 「遺伝子検査の米アンブリー・ジェネティクスと、創薬支援の米インヴィクロは、当社のグループ会社として活動を開始している。当社の持つたんぱく質高感度定量検出技術(HSTT)とのシナジーをそれぞれ発揮させる。M&Aありきではないが、事業成長の加速に必要な案件やミッシングピースがあれば検討する」

 ―業容転換の進捗(しんちょく)は。
 「商業・産業印刷や計測機器、プレシジョンメディシンといったそれぞれの事業領域でマイルストーンを設定し、着実に進んでいる。当社は約140年の歴史の中で、光学や材料などのコア技術を磨き続け、過去にはカメラやフィルムとして花開いた。業容転換についても、コア技術と世界200万社の顧客基盤を生かす。デジタル技術を組み合わせて『課題提起型デジタルカンパニー』を目指す」

 ―具体的には。
 「今、顧客が求めているのは、製品よりも企業活動を変革することだ。当社は、お客さまがどう変わろうとしているかを洞察し、課題をいち早く見つけ出し、技術やノウハウを生かして、率先して課題を解決していく」
コニカミノルタ・山名昌衛社長

(聞き手=梶原洵子)
日刊工業新聞2018年1月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
コニカミノルタは17年12月1日から、従業員の起業やIT・プログラミングなどの技術向上などを想定し、兼業・副業を解禁した。得られた知見を自社のイノベーション創出にもつなげる狙いだ。主力製品の複合機は、働く人の最も近くにある機器の一つ。新しい働き方に合わせたビジネスを提供するためにも、率先してチャレンジする必要がある。 (日刊工業新聞第一産業部・梶原洵子)

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