複合機のシェアが急回復したキヤノン、もっと簡単に動くを追求
池田映像事務機事業本部に聞く「品質が高く保守のための顧客訪問が少ない」
クラウド連携など新しい事務機のビジネスモデルが模索される中、キヤノンの第3世代事務機「イメージランナーアドバンス」シリーズの売れ行きが好調に推移している。主要なカラー複合機のシェアでは、2017年4―6月期に前年同期比1・5倍の21%に急回復した。原点である品質や使いやすさを徹底的に追求したことがカギとなった。映像事務機事業本部の池田義則副事業本部長に戦略を聞いた。
―販売が好調な要因は。
「第3世代の製品を3月までに取りそろえたことで、17年に入って大きく伸びた。オフィス全てに提案できることに加え、ディーラーが『利益が出る機械』と認知して、積極的に売ってくれた。品質が高く、保守のための顧客訪問が少ないと、ディーラーの利益が増える。静音性や使い勝手、第三者機関の表彰などが相まって評価された」
―販売店の反応は。
「品質が低い時は声が上がるが、今はない。声がないのが、良い評価の証拠だ。サービスマンが次に訪問するまでの印刷量が従来の1・5―3倍に増えており、訪問回数が減っていると分かる」
―事務機各社は、ソリューション提案を強化しています。
「モノだけでは売れないため(ソリューション提案は)必要だが、本体や保守サービスでの稼ぎが多い。また、多様なソリューションがあっても、人気があるのはコストやセキュリティーといった基本的な機能だ。当社は、個人や部門ごとの印刷枚数・コストなどを管理することによって、顧客の印刷コスト削減を支援するソフトウエア『ユニフロー』を提供している。これが商談を引っ張ることもある」
―今後はソリューションを重視した開発になるのでしょうか。
「ハードをうまく使うためのソフトであって、IT業界とは違う。第一に優先するのは品質だ。今の複合機は『いつも使えて当たり前』と考えられており、少し品質が落ちるとディーラーから選ばれなくなる。当社は過去に品質で苦労した経験がある」
―品質向上に向けた生産・開発体制をどう整備しますか。
「従来、設計と工場、調達は分業状態だったが、三位一体のコンカレントエンジニアリングへ変革している。自動化で手作業のミスを減らすほか、ノウハウを技術に置き換える取り組みも進める」
―今後の進化は。
「メーカーが努力する部分は、まだまだある。プリンターと同様に、配送業者が設置するだけで使えるようにするのは(努力していく)方向の一つ。専門知識がなくても、業務に合わせたワークフローを設定できれば便利だ。あれこれできても、設定が大変では意味がない。ボタン一つで簡単に動くコピー機の『グリーンボタンの文化』を追求する」
(聞き手=梶原洵子)
―販売が好調な要因は。
「第3世代の製品を3月までに取りそろえたことで、17年に入って大きく伸びた。オフィス全てに提案できることに加え、ディーラーが『利益が出る機械』と認知して、積極的に売ってくれた。品質が高く、保守のための顧客訪問が少ないと、ディーラーの利益が増える。静音性や使い勝手、第三者機関の表彰などが相まって評価された」
―販売店の反応は。
「品質が低い時は声が上がるが、今はない。声がないのが、良い評価の証拠だ。サービスマンが次に訪問するまでの印刷量が従来の1・5―3倍に増えており、訪問回数が減っていると分かる」
―事務機各社は、ソリューション提案を強化しています。
「モノだけでは売れないため(ソリューション提案は)必要だが、本体や保守サービスでの稼ぎが多い。また、多様なソリューションがあっても、人気があるのはコストやセキュリティーといった基本的な機能だ。当社は、個人や部門ごとの印刷枚数・コストなどを管理することによって、顧客の印刷コスト削減を支援するソフトウエア『ユニフロー』を提供している。これが商談を引っ張ることもある」
―今後はソリューションを重視した開発になるのでしょうか。
「ハードをうまく使うためのソフトであって、IT業界とは違う。第一に優先するのは品質だ。今の複合機は『いつも使えて当たり前』と考えられており、少し品質が落ちるとディーラーから選ばれなくなる。当社は過去に品質で苦労した経験がある」
―品質向上に向けた生産・開発体制をどう整備しますか。
「従来、設計と工場、調達は分業状態だったが、三位一体のコンカレントエンジニアリングへ変革している。自動化で手作業のミスを減らすほか、ノウハウを技術に置き換える取り組みも進める」
―今後の進化は。
「メーカーが努力する部分は、まだまだある。プリンターと同様に、配送業者が設置するだけで使えるようにするのは(努力していく)方向の一つ。専門知識がなくても、業務に合わせたワークフローを設定できれば便利だ。あれこれできても、設定が大変では意味がない。ボタン一つで簡単に動くコピー機の『グリーンボタンの文化』を追求する」
(聞き手=梶原洵子)