続・ユニキャリア売却の波紋!なぜニチユ三菱に決まったのか?深層レポート
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三菱重工−M&Aに意欲、日立との火力システム事業統合が成功体験に
ニチユ三菱が所属するのは、三菱重工業の「機械・設備ドメイン」。ここは独シーメンスと統合した製鉄機械や冷熱、コンプレッサー、自動車用過給器、工作機械など15のSBU(戦略的事業評価制度における事業単位)から成り立つ“ミニ重工”だ。
ドメイン売上高は15年度見通しで1兆4000億円。17年度に1兆8000億円を目指すなか、単独では持続成長や黒字化が難しい中小規模事業の再編・統合を加速している。「さらに戦えるようにする最適形の模索は全事業が対象。シナジーがあれば、はばかることなく(M&Aを)進める」(木村和明取締役常務執行役員機械・設備システムドメイン長)。
こうした考え方は、近年の三菱重工の戦略そのものだ。主力の火力発電システム事業を日立製作所と統合し「補完性が強く1+1が2・5から3になった」と宮永俊一社長が評価する三菱日立パワーシステムズ(MHPS)の成功が大きい。
三菱重工は10―14年度に累計約1兆円(新規事業投資除く)のフリーキャッシュフローを創出するなど財務基盤が強化されており、今後もM&Aには積極的に参画する見通し。
日刊工業新聞2015年06月30日深層断面を一部編集