製薬メーカーが通販で化粧品を買ってもらう仕掛け

第一三共ヘルスケア、買収効果じわり

 第一三共ヘルスケア(東京都中央区、西井良樹社長)の通信販売事業が軌道に乗りつつある。小売店経由で一般用医薬品を提供してきた同社にとって、通販はスキンケア化粧品などを消費者に直接売り込める貴重な販売チャンネルだ。競合する事業者は多いものの、M&A(合併・買収)や新ブランド投入といった施策を積極的に展開してきた。今後も、順調に成長を続けられるか注目される。

 「消費者の購入パターンは2通り。一つは日常必需品を費用対効果で選別する。もう一つは、自分へのご褒美でぜいたくをする」。第一三共ヘルスケアの吉田勝彦取締役専務執行役員は、自社が通信販売事業に力を注ぐ背景をこう説明する。

 消費者は日用品であれば、身近な小売店で見かけるものを買うことが多いと考えられる。一方で“ぜいたく品”については「ウェブ上で情報を得て、自分にとって希少性のあるものを買うことで満足感を得る人が増えてきた」(吉田取締役)。

 その対象は衣服や宝飾品だけでなく、健康・美を向上するための製品も含まれるという。一般用医薬品や化粧品を展開する同社にとっては「(通販を)やらない手はない」(同)。

 ただ、通販を展開する医薬品や化粧品メーカーは多く、差別化が求められる。加えて第一三共ヘルスケアは、小売店経由での製品販売を主体としてきたため、消費者との直接的な接点は少なかった。

 そこで同社は、化粧品ブランド「ライスフォース」の通販を手がけてきたアイム(高松市)を2015年11月に買収。吉田取締役はアイムを「特定の領域にこだわりが深い人とのコミュニケーションが得意」と評価。買収後の統合作業を通じてアイムの知見の取り込みを図るとともに、製薬会社の視点から製品の品質向上に取り組んだ。

 こうした努力もあり、ライスフォースの販売は順調に拡大。アイムの15年2月期売上高は58億円だったが、第一三共ヘルスケアの17年3月期の通販事業売上高は100億円を超えた。その大部分をライスフォースが占める。吉田取締役は「ライスフォースと同規模のブランドを複数持てれば」とし、新たな柱を育成する考えだ。

 この観点で期待をかけているのが、通販限定のスキンケア新ブランド「ブライトエイジ」。17年10月から本格的に販売を始めた。ウェブ広告を活用し、肌のハリ不足や乾燥などに悩む40―50代の女性へ売り込んでいく。

 ライスフォースも伸びしろがありそうだ。米国のハワイなど、海外のスパ(温浴施設)で採用されている。「スパで使用して気に入ったお客さんが買うためのルートがある」(吉田取締役)といい、ブランド認知が世界へも広がる可能性がある。

日刊工業新聞2018年1月19日

日刊工業新聞 記者

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01月21日
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吉田取締役は「通販は小売店での販売に比べ、顧客数が少ない。十数万人程度をターゲットにし、その人たちが定期的に買ってくれれば良い」と話す。固定ファンの確保につながるブランド戦略や品質向上をはじめとする地道な施策が問われ続ける。
(日刊工業新聞第二産業部・斎藤弘和)

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