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地元スーパー、倒産のベルはクリスマスケーキ!?

山梨の「やまと」、ケーキを予約した数百人が焦げ付く結果に
 山梨の地場スーパー「やまと」は2017年12月18日、甲府地裁より破産手続き開始決定を受けた。地元で親しまれてきた食品スーパーだったが、人口減と大手小売り進出による競合激化には勝てなかった。

 やまとが韮崎市に創業したのは大正元年。100年以上、地元の主婦たちに利用されてきた。鮮魚・精肉・青果の生鮮3品や総菜を中心とした食料品を扱い、過疎地域や福祉施設への移動販売など“買い物弱者”向けの取り組みも積極的に行っていた。ピーク時の08年には韮崎市・峡北エリアを中心に16店舗を運営、同年6月期の売上高は約64億4300万円を計上した。

 しかし、少子高齢化が進むローカルエリアでの店舗が多く、近年は客数減が顕著となった。加えて、県外資本の大手量販店や地元同業他社の出店攻勢、それに伴う価格競争の激化で減収基調に歯止めがかからず、14年6月期には売上高が約47億9200万円に縮小、債務超過に転落していた。

 同年10月には取引金融機関に借入金の元金返済猶予を要請。経営改善計画をまとめ、不採算店舗の閉鎖ほか各種リストラを実施してきた。結果、店舗数は9店舗に減少、17年6月期の売上高は約27億4700万円に落ち込み、4期連続の減収赤字決算を強いられた。

 その後も取引金融機関や主力仕入れ先の支援で再建を目指していたが、厳しい経営環境によって採算割れが続いた。仕入れ先からの納品も徐々に止まり始めるなか、書き入れ時である年末商戦の仕入れにも支障を来す事態となり、もはや事業の継続は不可能だった。

 折しもクリスマス直前のタイミング。地元のスーパーでケーキを予約して、クリスマスパーティーに備えようという家庭も少なくなかった。クリスマスケーキの予約に伴う前金の総額は100万円を超え、ケーキを予約した数百人の一般消費者が焦げ付く結果となった。
(文=帝国データバンク情報部)
【会社概要】
(株)やまと
住 所:山梨県韮崎市富士見2―12―36
代 表:小林 久氏
資本金:3000万円
年売上高:約27億4700万円(17年6月期)
負 債:約16億5900万円
日刊工業新聞2018年1月16日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
やまとのクリスマスケースはよっぽど美味しかったのだろう。地方スーパーの再編は今年も加速する。うちの地元の石川県小松市は昨年にイオンモールができて週末は人があふれかえっている。ただどこまで消費(売上高)が増えているのか?と思う。

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