工作機械受注は1.7兆円、ロボット生産は1兆円。18年は過去最高へ

モノづくり機器、新時代に突入

 工作機械業界が空前の活況に沸いている。日本工作機械工業会(日工会)は11日、2018年の工作機械受注高が1兆7000億円の見通しだと発表した。17年は初めて1兆6000億円を超える見込みで、実現すれば18年は2年連続で過去最高を更新する。最大需要地の日本、米国、中国、欧州が好調に推移すると予想した。特に中国の拡大は顕著で、先進国市場を中心に発展してきた工作機械産業は新時代に突入する。

 工作機械の受注高はこれまで月間1000億円が好不調の基準線と言われてきた。1兆7000億円は桁外れに高い水準だ。それでも業界内では「十分にありえる数字」(森雅彦DMG森精機社長)と賛同する声が多い。

 1兆7000億円のうち「外需は1兆―1兆1000億円、残りが内需」(飯村幸生日工会会長=東芝機械会長)とした。内需は89―90年に1兆円を超えたことがあったが、6000億円規模となれば過去10年間では記録的な高水準となる。

 17年は主要産業分野がほぼもれなく好調だった。18年もけん引役だった自動車、半導体製造装置などの半導体産業が引き続き堅調な見通しだ。車載用の半導体は増加傾向にあり「データセンター向けに活況だったかつてとは違い、息の長い需要増が見込める」(花木義麿オークマ社長)と見立てる。

 ただ、需要を満たす生産能力が追いついていない。工作機械業界は主要部品の不足といった一時的な課題だけではなく、労働人口の減少という日本の社会構造問題に直面している。岡本満夫アマダホールディングス会長は「この状況で生産能力、部品、人を確保できなければ淘汰(とうた)される」と警戒し、事業基盤の強さが試される年になるとみる。

産業用、初の大台


 日本ロボット工業会は12日、2018年の産業用ロボットの生産額が初めて1兆円の大台に乗るとの見通しを発表した。17年は前年比28%増の9000億円となる見込みで、実現すれば2年連続で過去最高を更新する。

 人手不足などを背景に世界で工場の自動化需要が拡大。特に中国の伸びは顕著で、主力の自動車産業だけでなく電子機器受託製造サービス(EMS)などへすそ野が広がる。

 日本ロボット工業会は併せて18年の産業用ロボット受注額が1兆1000億円になるとの見通しも発表。同日に東京都内で開いた賀詞交歓会で稲葉善治日本ロボット工業会会長(ファナック会長)は、「1兆1000億円を皮切りに、2兆円を目指してがんばっていきたい」と意気込みを示した。

日刊工業新聞電子版2018年1月12日

六笠 友和

六笠 友和
01月13日
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 工作機械やロボット以外でも鍛圧機械、切削工具といったモノづくりの機器の市況が上振れで推移している。プレス機械や板金機械などの日本鍛圧機械工業会(日鍛工)は2018年度の受注が17年度比3・4%増の3630億円になると予想し、日本機械工具工業会は17年度予想を上方修正した。
 鍛圧機械は「高原横ばい」とも言える状態が続きそう。日鍛工が予測した18年度の受注は前年度比3・4%増の3630億円。08年のリーマン・ショック後の10年間の最高を2年続けて更新する見通しだ。過去15年間では自動車の世界生産が好調だった06年度の3935億円、07年度の3934億円に迫る3番目の水準となる。3630億円のうち、プレス系機械が同6・3%増の1700億円、板金系機械が同横ばいの1100億円、サービスが同2・5%増の830億円だ。プレス系は2000億円を超えた05―07年度には及ばないもの、リーマン後では2番目の高水準。板金系の1000億円超えはこの15年間で5回目とまずまずの水準だと言える。
 18年度に期待されるのが自動車業界の設備投資だ。特に自動車のフォルムとなる外板を成形するタンデムプレスラインへの期待値は高い。タンデムラインは1案件が40億円規模になることがあり、全体額を大きく左右する。プレス系機械では電気自動車(EV)向けの国内投資が本格化しそうだ。EV関連では、すでに駆動用モーターの基幹部品であるモーターコアが増産基調にある。アイダエンジニアリングは18年度に、モーターコアを成形する高速プレス機械の生産能力を1・5倍にする計画がある。
 17年度の機械工具の生産額を前年度比6・9%増の4737億円と予想する。当初予想の4581億円を上方修正した格好だ。日本機械工具工業会によると、17年8月以降は忙しさが増した。乗用車やスマートフォン(スマホ)向けが繁忙だったことに加え、商用車、建設機械向けが増えたという。新しい予想は「コンサバ(慎重)にみた」(日本機械工具工業会の牛島望会長)と、さらなる上振れもありそうだ。

 

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