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社内で渋滞しているアイデアを製品化、アイリスオーヤマが54年ぶり社長交代

社内で渋滞しているアイデアを製品化、アイリスオーヤマが54年ぶり社長交代

大山健太郎社長(アイリスオーヤマ公式ページより)

 アイリスオーヤマ(仙台市青葉区)は11日、7月1日付で初代社長である大山健太郎社長(72)が代表権のある会長に退き、長男の大山晃弘取締役(39)が社長に昇格する人事を内定したと発表した。アイリスオーヤマの前身である「大山ブロー工業所」を含め、54年ぶりの社長交代となる。

 晃弘氏は入社以来、主にグローバル畑を歩み、現在、海外事業の責任者を務める。2022年12月期は17年12月期比2・3倍にあたる1兆円の売り上げを見込む。中長期的な経営ビジョンが明確になったことで経営のバトンを渡す。

   

【略歴】大山晃弘氏(おおやま・あきひろ)01年米ベロイト大経営中退。03年アイリスオーヤマ非常勤監査役。14年執行役員、15年取締役。宮城県出身。

日刊工業新聞2018年1月12日



大山社長インタビュー「私たちが家電メーカーと根本的に違うこと」


 アイリスオーヤマ(仙台市青葉区)の家電事業が順調だ。2010年12月期の事業売上高は100億円だったが、この6年で約5倍の500億円規模まで膨らんだ。4月には家庭用エアコンを発売し、大手メーカーの撤退が相次ぐ大型白物家電の分野にも参入した。家電事業の成長戦略をどう描くのか、大山健太郎社長に聞いた。

 ―家電事業をどう育てますか。
 「生活用品など自社の1万6000アイテムのうち、まだ家電は数百程度に過ぎない。(社内で)渋滞しているアイデアを製品化していけば、3、4社ある大手メーカーの次の位置に上がれる。16年12月期で4割だった家電事業の売上比率は17年12月期に5割弱、18年12月期には6割と順調な推移を見込む」

 ―家電の開発・生産体制は。
 「大阪R&Dセンターに70人の開発者がいる。今後も積極的に採用する。プラスチック製の生活用品と同じく、家電もできることは全て社内でやる。家電は主に中国で生産しているが、メリットがあれば国内(への生産)移管もある」

 ―エアコン商戦を前に4機種を発売しました。
 「東日本大震災後、節電需要が高まり、発光ダイオード(LED)照明が大きく伸びている。一方、エアコンや冷蔵庫、洗濯機(などの大型家電)は主な機能にほとんど改善の余地はないが、消費者は(節電などの観点で)不満を抱えている。エアコンは他の大型白物家電に比べて節電効果を高めることができ、切り口次第で生活を便利にできる」

 ―家電の特徴は。
 「単身・少人数世帯が増えて、家電に求める機能も変わっている。例えば真冬に帰宅して部屋が冷え切っていたら、暖まるまでに時間もかかって寂しい気持ちになる。今回のエアコンは外出先からスマートフォンで電源を入れれば、部屋を暖めておくことができる」 

 ―価格も売りの一つです。
 「同等機能の他社製品は20万―30万円のものもあり、単身者は買わないだろう。消費者が商品を選ぶ時は、機能と同じく価格を重視する。他社の多くは原価ありきで、そこに機能や流通コストを上乗せして売価を設定している。当社は売価を先に決めて過剰な機能を引き算する。安物を作っているのではなく、根本的な考え方が違う」

2017年06月04日

昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
炊飯器、エアコンなど次々と家電を売り出し、好調なアイリスオーヤマ。海外畑の次期社長はどのような経営を行っていくのでしょうか。

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