シェア50%もインドでトヨタと組むスズキの危機感

最強タッグは電動化の波を乗り切れるか

 インドでスズキとトヨタが電気自動車(EV)の現地生産の検討を始めた。人口10億人を超える市場を持ち、今後も成長が見込まれる。環境対策の強化を背景にEV普及への機運が高まる中、需要取り込みに向けた体制強化を急ぐ。

 「インドはボリュームがあまりにも大きいので、電動化が一気に進めば足をすくわれかねない」。スズキの鈴木俊宏社長は、インドの電動化の動きに警戒心をあらわにする。

 インドは充電インフラに加え、電力不足がEV普及の重い足かせとなっている。しかしインド政府は、30年までに自動車の国内販売をEVのみにする政策を掲げている。インドで50%近いシェアを持つ“巨象”のスズキであってもEV戦略の重要性が高まっている。

 そこで同社は11月に、インドで20年ごろのEV投入に向けてトヨタと協力関係の構築検討で合意した。スズキがEVを生産し、トヨタにも供給する。トヨタはコネクテッドカー(つながる車)などの技術を支援する。

スズキがEV開発を主導する理由


 注目すべきはEV開発をスズキが主導する点だ。スズキは現地で自動車トップメーカーだが、「技術力に課題がある」と鈴木社長も認める。

 このため、EV開発はトヨタ主導で進むとの見方が強かった。ただスズキは、量産にはいたらなかったものの、軽自動車のエンジンでモーターを駆動して走行する「レンジエクステンダー」技術によるEVの開発実績がある。

 「カローラが高嶺の花」と言われるインドでは、EVといえどもスズキの低コストなモノづくりのノウハウは欠かせない。両社がインド市場に投入するEVは、先進国で普及が進む高額なEVと一線を画す車となるかもしれない。

 インド人のニーズと好みを知り尽くしたスズキのEVの供給を受けることは、インドで苦労してきたトヨタにとっては市場の突破口になる可能性もある。

 両社はインドで今後、充電ステーションの整備や販売網のサービス技術者の教育、使用済み電池の適切な処理体制の構築など、EV普及に向けた活動を総合的に進める。

 技術的にはスズキ、東芝とともに20年にグジャラート州でハイブリッド車(HV)用リチウムイオン電池の生産を始めるデンソーもカギを握る。

日刊工業新聞2018年1月4日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
01月08日
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 インドでのEV普及には、電力供給や充電インフラの問題で実現を疑問視する声も多い。しかしスズキがEV化へ踏み出したことで、EVシフトへの大きな援護射撃となる。両社は車種のラインアップの重複も少なく、インド最強の組み合わせとなりそうだ。(日刊工業新聞浜松支局・田中弥生)

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