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18年の初詣はストリート系ファッション提灯に出会えるかも

江戸手描提灯、伝統と革新へのチャレンジ
18年の初詣はストリート系ファッション提灯に出会えるかも

枠をはめれば弓張型の手持ち提灯が完成。壁掛けや床置きすることも可能

 歌舞伎の舞台や神社仏閣の千社札などで目にする江戸文字を描き入れた江戸手描提灯(ちょうちん)。1913年(大2)創業の泪橋大嶋屋提灯店(東京都荒川区、村田修一社長)は、ストリート系メンズファッションブランド「ウィズリミテッド」とコラボしたオリジナル提灯を製作した。

 コラボのきっかけは東京都の企画「クリエイターズ・コラボ」に江戸手描提灯が選ばれたこと。国内のクリエイター・デザイナーと都の伝統工芸品の職人が魅力ある製品を共同製作で生み出す企画で、提灯文字職人である村田社長と、ウィズリミテッドのブランドデザイナーである下野宏明さんが連携することになった。

 下野さんとの打ち合わせで村田社長は数多くある提灯の種類の中から、床に置け、壁にも掛けられ、手に持つこともできる手丸弓張提灯を採用した。汎用性が高く、さまざまな場所で飾ってもらえると考えたからだ。真っ赤なアクリル系水性塗料で全体を塗った中に稲妻のアクセントを入れるなど、伝統とストリートデザインが融合した作品となった。

 作品の中にはアルファベットを採用したものもあるが、「決まったデザインと同じように描き入れるだけ。持ち込まれた仕事を要望に応じて製作することが大切だ」と、村田社長は説明する。ウィズリミテッドの社名を描き入れていることもあり、同ブランドのファンも購入している。

 近年、海外からの旅行者が増えたこともあり、外国人旅行客が自分の名前を漢字2、3文字にして提灯に描いてほしいとの依頼が増えてきた。

 村田社長はこうした依頼に応じて1週間程度でオーダーメードの提灯を製作する。和風柄が主流だが提灯の枠部分を黒だけでなくピンク色にするなど「ある程度、希望に沿えるようにしている」(村田社長)という。若者向け、外国人向けにさまざまなデザインが生まれているが、デザイン次第では高級ブランド店の装飾用としての需要も出てきそうだ。
丁寧に筆を入れる泪橋大嶋屋提灯店の村田社長

日刊工業新聞2017年12月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
東京都伝統工芸士会によると、提灯が一般に普及した江戸時代の半ばから浅草周辺では多くの描き職人がいたという。明治時代になると問屋制が発達し、提灯の製造と文字描きの分業が進んだ。提灯文字職人の仕事は、貼りあがった火袋に家紋や江戸文字を描き入れ、枠を付けて完成させる。2007年12月25日に東京都指定伝統工芸品となった。

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