国際共同研究の起爆剤に!大学の枠越え施設を利用

文科省が新制度

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東大の宇宙線研究所公式ページより
 文部科学省は2018年度に国立大学の研究施設を核に、外国人研究者の利用や連携など国際化を強化する「国際共同利用・共同研究拠点制度」(仮称)を始める。日本の学術・基礎研究の国際競争力向上に向け、質の高い国際共著論文の増加も期待できる。18年度予算案で4億円弱を運営費交付金に盛り込んでいる。

 新制度は、国内を中心に大学を越えた施設の共同利用を促す現行の「共同利用・共同研究拠点」制度を拡充するもの。同拠点は大学の付置研究所など施設、設備、試料、データなどを他機関も活用する仕組みで、国立大では東京大学の宇宙線研究所、鳥取大学の乾燥地研究センターなど28大学77拠点がある。

 この中に新制度を創設し、各研究分野における日本の国際化のハブを育成する。

 対象は世界的にみて質の高い研究資源を保有し、研究業績に優れ、外国人研究者支援の体制が整備された国立大の研究所やセンター。公募で文科省が6拠点を認定する。

 研究費や旅費・滞在費、支援職員人件費など1拠点年6000万円で、運営費交付金により第3期中期目標期間(21年度まで)中、支援する計画だ。

 同拠点の資源を活用した研究は論文生産性が高い傾向があるという。15年度の論文は5年間で52%増となり、日本全体の2%増に比べ、伸びが目立つ。

 論文被引用度に注目した「トップ10%論文の割合」や国際共著論文割合が高い旧帝大の研究所のほか、個性的な地方大学の研究所も活躍する。

 同拠点の利用者年3万人弱のうち、外国研究機関所属は14%だ。新制度でこの比率を上げ、世界における日本の存在感を高める。
                 

日刊工業新聞2017年12月26日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

「1大学内の伝統ある研究所」という閉じた形ではなく、「研究コミュニティーのリーダーになる」形だ。「共同利用・共同研究拠点の認定」を受けて、施設や設備を他大学に開放し、その分野の研究者が集まり議論したり共同研究したりする場となる、というのが新たなミッションだ。今回の新制度・新事業はこの活動をベースに国際化を進めるものだ。予算金額は大きくはないが、学部や大学院とは異なる研究所の新たな役目として期待したい。

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