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遺伝子注入で心臓の機能回復、5年後をめどにヒトへの応用を目指す

慶大がマウスで成功、新しい心筋再生法として期待
 慶応義塾大学医学部の家田真樹専任講師らは、心筋梗塞などで線維化してしまい、ポンプ機能が低下した心臓の細胞に3種類の遺伝子を導入し、心臓の機能を回復することに成功した。マウスを使った実験で実証した。IDファーマ(東京都千代田区)との共同研究。細胞移植を必要としない新しい心筋再生法として、再生医療への応用が期待される。

 家田専任講師らは、これまでにヒトの心筋細胞を作り出すために必要な「心筋誘導遺伝子」の遺伝子群を複数発見していた。

 研究チームは、これらの遺伝子を心臓に効率よく導入する遺伝子の運び屋ウイルス「心筋誘導センダイウイルスベクター」を開発。マウスから心臓内の線維芽細胞を取り出してこのウイルスで誘導すると、拍動する心筋細胞ができる効率が従来より約100倍高い10日間で10%と、大幅に改善していた。

 さらに心筋梗塞のモデルマウスで実験したところ、従来方法では誘導率が0・5%だったところ、このウイルスを使えば約1・5%に上昇し、成熟した心筋細胞ができた。
                   
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
家田専任講師は「5%程度心筋へ誘導できれば、十分心機能の改善が期待できる。5年後をめどにヒトへの応用を目指す」という。

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