山口大の特許収入、支出の2.3倍に大幅向上 そのテクニックとは

 山口大学の知的財産センターは同大の特許関連収支を分析し、2012―16年度平均の年間収入は約2億円で、支出の2・3倍になることを明らかにした。特許が核となって獲得した競争的資金の間接経費が多く、人件費を十分にカバーした。知財の活動は特許維持などで費用がかかり、“金食い虫”と批判されやすい。研究資金獲得につながる特許という視点で、同大の取り組みは注目されそうだ。

 山口大の5年間平均での支出は約8500万円で、うち人件費と、国内外の特許出願・維持費などが半々だ。これに対して収入は、外国出願に対する科学技術振興機構(JST)の支援金と、特許実施料が約2000万円ずつ。従来はこの計4000万円分をみて、「特許事業は赤字のままだ」と批判される傾向があった。

 今回は収入の対象を広げ、特許出願があったことで獲得できた外部資金の間接経費も新たに算入した。特許との関連は教員ヒアリングや契約書で確認し、共同・受託研究で約2100万円と算出。科学研究費助成事業など競争的資金からは、約1億3400万円。この結果、収入は計約1億9500万円となり、かなりの黒字と分かった。

 佐田洋一郎知財センター長は「特許事業を長年、続けている大学は同様ではないか」と話しており、学内財務部などの理解を得るために分析することを、他大学にも勧める。

 また政府が後押しする共同研究大型化については、「複数企業が参加するコンソーシアムでの知財の扱いに工夫が必要だ」と見ている。
     


【関連記事】AMED、特許出願前の創薬シーズ紹介 企業と大学マッチング(日刊工業新聞電子版)

日刊工業新聞2017年12月21日

山本 佳世子

山本 佳世子
12月23日
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大学の特許ほど期待や評価の振れが激しいものは、産学連携の各種手法を見渡してもないと思う。
2004年の国立大学法人化当初は、どの大学も「特許で稼ぐ」気でいたが、収入はさほどでないとわかるにつれ、「特許は経費がかかるばかり」と冷たい見方が広がった。
山口大の分析は「狭義ではなく広義でみれば、特許の大学への貢献は大きい」と示したものだ。
またAMEDの呼びかけも、従来の大学スタンスをひっくり返すものだ。
「とにかくまず、特許出願」という考えを、創薬分野では捨てて、「特許戦略に長けた企業と組んでから、考えよ」というものだ。
法人化から13年。なんとかこのあたりで、優れた特許活用の手法が確立されることを願っている。

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