ケニアのお粥甘すぎ問題―キッコーマン、こうじ甘酒応用

開発課題の解決と雇用の創出目指す

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小学校で実施した甘かゆ調理試験
 ケニアは域内の「優等生」だ。人口は4605万人で、2014年の国内総生産(GDP)は1人当たり1358ドル(約14万円)、実質GDP成長率は5.3%。国家開発計画「ビジョン2030」で30年までの中所得国入りを目指し、沿岸部から隣国ウガンダに通じる鉄道建設といった大型プロジェクトも進行中だ。

 ただ、私は01年ごろの前回駐在時と比べ、急速に発展する首都ナイロビとその他の地域との格差が一段と広がったと感じる。携帯電話の普及で電子送金システム(M―PESA)が全国的に普及する一方、電気・上下水整備が整備されていない地方部は特に厳しい状態にある。

 若者の多くが就職できずにテロへの参加につながる懸念もあり、国内問題化している。

 こうした中、JICAは日系企業の進出を後押ししつつ、日本企業の高度な技術を活用してケニアの開発課題の解決と雇用の創出を同時に目指す取り組みを始めた。LIXILの循環型無水トイレシステムは水を使わず衛生的に排せつ物を処理し、安全な堆肥にする。

 学校であれば、不衛生な環境下の子どもの下痢による死亡や女子生徒を性暴力の危険にさらす野外排せつの対策にもなる。販売量に応じ現地生産も検討予定で、ケニア側は技術移転や雇用創出、企業側はアフリカ市場への参入を期待する。

 キッコーマンは、学校給食のウジ(雑穀かゆ)が大量の砂糖を使うため栄養バランスや糖尿病の問題があると分析。日本のこうじ甘酒を参考に、栄養も消化も良い甘かゆの素を開発中だ。JICAはこうした自社製品・技術のニーズ検証、実証・普及のための調査経費を負担するほか、ケニアの関係省庁、郡政府の協力取り付けを支援する。

 8月27、28日には日本政府が主導する国際会議「第6回アフリカ開発会議」が初のアフリカ開催としてケニアで開かれる。

 JICAとしても留学と日本企業インターンをセットにしたABEイニシアティブによる産業人材育成、主要経済回廊の北部回廊開発マスタープランや起点モンバサの港湾、道路、経済特区整備等に取り組み、ケニアの成長を支援する。
(文=ケニア事務所長・佐野景子(さの・けいこ)氏)
【略歴】民間企業勤務後、青年海外協力隊員としてジンバブエで活動。96年からJICA勤務。総務部、外務省、アフリカ部などを経て15年9月から現職。

日刊工業新聞2016年8月5日 総合4/国際面

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昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

この「JICAの現場から」は日刊工業新聞にて随時連載を開始しました。雇用の創出からトイレ、お粥まで、日本の技術がケニアで生かされています。

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