“ビットバレー”復活なるか?メガバンクが渋谷に熱視線、有力VB囲い込み

シリコンバレーで作ったようなプラットフォームを日本で作れれば

 メガバンクが東京の渋谷でベンチャー支援を活発化している。11月、シリコンバレーの著名アクセラレーター(起業支援組織)「プラグアンドプレイ(PnP)」が渋谷に日本初の拠点を構え、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が協力企業として参画。9月には三井住友フィナンシャルグループがオープンイノベーション拠点を開設し、みずほ銀行は渋谷区と協定を結んだ。かつて“ビットバレー”と呼ばれた渋谷に銀行が熱視線を送っている。
 
 「シリコンバレーで作ったようなプラットフォームを日本で作れれば素晴らしいシナジーが生まれる」。11月の開所イベントでサイード・アミディ最高経営責任者(CEO)は力を込めた。PnPは世界23カ所に拠点を構え、米決済大手ペイパルなどの支援実績を持つ。日本ではIoT(モノのインターネット)、フィンテック(金融とITの融合)で有望な国内外のベンチャーを支援する。有力アクセラレーターの日本進出は関係者の注目を集めている。

 三菱東京UFJ銀行は2016年、PnPと提携。日本進出に合わせ国内でも連携を図る。日系大企業の顧客網が充実しているMUFGとしては、「PnPのノウハウを活用して大企業と有力ベンチャーの橋渡しを強化したい」と荒木三郎副頭取は話す。これまでも独自にベンチャー支援をしてきたが、荒木副頭取は「経営者が気軽に相談に乗れる機能がしっかりしてなかった。PnPは助言者をそろえている」とも述べ、PnPの渋谷を拠点とした活動に期待をかける。

 三井住友FGが渋谷に開いたオープンイノベーション拠点「フープス・リンク・トーキョー」は、中山知章ITイノベーション推進部長によれば「多様なプレーヤーに集まってもらいアイデアを生み出すリアルな接点の場」。同社が持つ内外のネットワークを開放しながら有力ベンチャー創出を探っている。中山氏は「渋谷は助言者やアクセラレーターが集まっていて、すぐ来られる最適な場だ」と話す。

 みずほ銀行は渋谷区と協定を結んだ。観光やスポーツなど協力は多岐にわたるが、長谷部健区長は「みずほに特に期待するのはベンチャー支援。行政でも支援しているが少ない予算で効果に疑問がある」と指摘。藤原弘治頭取は「ベンチャーに活躍してもらう場を作る存在になりたい。ベンチャーが集積する渋谷はそのど真ん中」と全面的に支援する考えだ。

 90年代半ばから00年代初めにかけて渋谷はITベンチャーが集積。ビットバレー構想とともに活気づいたがITバブルが収束し下火になった。

 最近は東急不動産などによる大規模再開発に伴い、渋谷から六本木に移転した米グーグルの日本法人が渋谷に戻る計画を発表するなど活気を戻しつつある。銀行としてもこの流れに乗って有力ベンチャーを囲い込みたいところだ。
(文=編集委員・池田勝敏)

日刊工業新聞2017年12月7日

昆 梓紗

昆 梓紗
12月11日
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再開発も続々と進む渋谷。コワーキングスペースやベンチャー企業も多いですが、小さなビルに点在しているイメージです。がっつりベンチャーが集積するようなビルができても面白いかもしれません。

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池田 勝敏
池田 勝敏
12月11日
日本のベンチャーのイグジットはほとんどがIPOでM&Aによるものは少なく、米国はその逆だという。荒木副頭取は「大企業が積極的にベンチャーを買収すれば、買収されるベンチャーにとってもビジネスを進める上でよいことだ」とも話している。
  

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