脳卒中の後遺症で片まひのある患者、7割に改善効果

慶大が新しいリハビリ治療法、2-3年後に実用化目指す

 慶応義塾大学理工学部の牛場潤一准教授らは、脳からの電気信号に基づいて患者の装具を連動するシステム「ブレイン・マシン・インターフェース」(BMI)などを用いる総合的なリハビリ治療の研究を始めた。6日開院の湘南慶育病院のリハビリステーションで、脳卒中の後遺症で片まひのある患者を対象に実施する。これまでの研究で被験者の7割で脳の活性パターンの改善効果があった。パナソニックと共同で製品化を進め、2―3年後の実用化を目指す。

 脳は電気信号によって体の筋肉を動かすように命令しているが、脳に損傷を受けた患者では脳の活動が不十分のため、体を思うように動かせない。

 活用するBMIは、死んだ脳細胞の周辺にある生き残った細胞の脳活動を読み取り、筋肉への電気刺激を加えたり、電動装具で運動を補助するシステム。こうしたリハビリを繰り返すことで、脳機能の回復を図る。

 重度まひの患者にBMIを装着してもらった実験では、手の開閉運動を1日にあたり40回、1時間程度続けると、7割の患者で脳の活性パターンが改善するのを確認した。装具の補助があれば手の開閉が可能になった。

 BMIによって脳活動の活性化が進めば、次は筋肉の電気信号で動作をアシストする装置と装具を組み合わせた「HANDS(ハンズ)療法」へ治療を切り替える。

 BMIとハンズ療法を組み合わせることで、重度まひの患者でも、「物をつかむ」「押さえる」といった基本動作が可能になり、これまでの研究で運動機能が中等度程度に回復した。

 湘南慶育病院で実施する研究では、患者のまひ症状や状態に合わせて、医師やスタッフが治療方針を検討する。BMIやハンズ療法を段階的に組み合わせ、患者の運動機能回復や機器の安全性を観察する。

日刊工業新聞2017年11月23日

明 豊

明 豊
11月24日
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今回の内容は12月15日に東京国際フォーラムで開く「慶応科学技術展」で発表するそうです。

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