セメント大手、値上げに動き出す

底堅い需要に環境整う。他業界にも波及か

 セメント大手各社がセメント値上げに向けて本格的に動き出す。太平洋セメントは具体的な時期や値上げ幅を年内にも需要家に明らかにする。住友大阪セメントも値上げ実施を表明。資材価格が高騰する中でもセメント価格はほぼ据え置きで推移してきたが、石炭などの燃料費や物流費の上昇をコスト削減で補うには限界がある。2020年の東京五輪・パラリンピックを控えて建設業界は活況。需要が底堅いうちに値上げ実現を狙う。

 太平洋セメントの福田修二社長は10日に都内で開いた会見で、「値上げを実施する。具体的な時期や値上げ幅は12月中にアナウンスする」と明言した。太平洋セメントが値上げを打ち出すのは2011年以来6年ぶり。

 セメント製造の燃料となる石炭価格は今年、前年に比べて1トン当たり約20ドル上昇した。17年4―9月期連結決算では営業利益ベースで20億円の減益要因となった。18年も10ドル近く上昇する可能性が高いという。

 石炭価格だけでなく、主要な製造設備であるキルン(回転窯)内部に用いる耐火れんがの価格も、中国での鉱山停止の影響を受けて急騰。さらに物流費や労務費の上昇もコストの増加要因となっている。

 セメント協会によると17年度上期(4―9月)のセメント国内販売量は前年同期比3・3%増の2071万4000トンと上期としては4年ぶりに増加した。

 同社は11年から1トン当たり1000円の値上げを進めてきたが、十分に浸透していなかった。直近では生コンクリート業界でも値上げを打ち出しており、値上げが受け入れられやすい環境が整ったと判断した。年明け以降、生コンクリート業者など需要家との交渉に入る。

 セメント価格を巡っては、従来から住友大阪セメントも値上げを表明している。セメント事業の利益は、原燃料として石炭灰や建設発生土などをリサイクルすることでまかなっている部分が大きい。

 関根福一社長は「セメントを販売して利益が残らないのは(事業継続のためにも)現実的ではない」として、年度末にかけて価格上昇の機運を醸成していく考え。三菱マテリアルも「値上げを検討せざるを得ない時期」(同社)との認識を示す。
(文=齋藤正人)

日刊工業新聞2017年11月14日

日刊工業新聞 記者

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11月15日
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業界大手が相次いで値上げを打ち出したことで、同業他社にも同様の動きが波及していく可能性が高い。
(日刊工業新聞第ニ産業部・齋藤正人)

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