パナソニックが提案するテレビの“脱主役”

気配や雰囲気を楽しむ受動的なデバイスがあってもいいじゃない!

 パナソニックは2017年度内にも新コンセプトの映像家電(サンプル版)の提供を始める。絵画の額縁のようなディスプレーを通じ、風景や映像作品など良質なコンテンツを配信し、人をリラックスにさせたり、元気にさせたりする雰囲気を提供する。リビングの“主役”であるテレビと異なり、集中して視聴せずに雰囲気を楽しむ“良き脇役”のような存在。サンプル版の反応を受けて改良し、本格販売を目指す。

 プロジェクト名は「AMP(アンビエント・メディア・プレーヤー)」。別の作業をしながらテレビを見る“ながら見”から着想を得た。現在はスマートフォンなどで、いつでも情報にアクセスできる情報過多の時代であることから、こうした情報デバイスとは真逆のコンセプトを設定。床の間の飾りや絵画、障子を開けた先の美しい庭のように、生活の中でゆとりを感じる製品にニーズがあると考えた。

 サンプル版は人の集まる店舗や公共施設など複数カ所に設置する。広告映像制作大手のアマナなどと協力して独自コンテンツを作り、複数の雰囲気に合うように調整してハードウエアと一緒に提供する。付属のコントローラーで音量やコンテンツの雰囲気を選ぶ。本格販売時には、クラウド上のプラットフォームを介し、多様なコンテンツを配信する。

 AMPプロジェクトを担当する谷口旭氏は「生活に溶け込みながら、さりげなく良いコンテンツに出会う機会を演出したい」としている。さらに、視聴を通して、コンテンツクリエイターを支援し育成する仕組みにする考え。

 同プロジェクトは新規事業の創出を加速する取り組み「ゲームチェンジャー・カタパルト」の一つで、家電などを展開する社内カンパニー「パナソニックアプライアンス社」が16年に始めた。

 従来の成功体験や自前のリソースにこだわらず、早期に市場投入し、少ない投資で製品化していく。

日刊工業新聞2017年11月10日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
11月11日
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谷口さんによると、一人暮らしの女性には帰宅後すぐに、テレビを点ける人が多いそう。観たい番組がなくても、実際に観なくても、「気配」があることが安心するのだとか。私もその一人です。能動的に情報を取得するためのスマートフォンのようなデバイスと、気配や雰囲気を楽しむ受動的なデバイスを使い分けてもいいなと思います。
(日刊工業新聞第一産業部・梶原洵子)

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