使用済み鉄道グッズ入手のマナー

故・瀬戸内さんへの信頼感

 駅名標や列車の行き先表示板、電車のドア・座席などで埋め尽くされた料理店が東京・千駄木にある。東海道新幹線が開業した1964年(昭39)に開店した『せとうち』だ。

 これらは他界したマスターの瀬戸内健三さんが集めたものだ。鉄道の旅で駅員や車掌らと出会ってはマメに手紙を書く。現地に足を運んで“お役御免”になった品を譲り受ける。この人なら寄贈しても…と思わせる信頼感があった。

 JR東海が使用済み鉄道グッズのインターネット直販サイト「鉄道倶楽部」を開設した。初回は引退した新幹線「700系」車両の運転台椅子や乗客用座席、乗務員用懐中時計などで、2日間で完売した。

 鉄道グッズはイベントでの限定販売が一般的だから、遠隔地の人にはうれしいサービス。鉄道会社の“公式サイト”ゆえの安心感もある。「鉄道を愛する者として、安全安定輸送を妨げてはならない」などの倶楽部活動ルールを掲げている点もユニークである。

 撮りたい写真や欲しいグッズのため、危険・違法行為に及ぶ一部ファンを問題視してのことだろう。最近も駅構内に侵入して、停車中の電車の列車表示板を壊した少年2人が逮捕された。瀬戸内さんが生きていたら、さぞ嘆いただろう。

日刊工業新聞2017年11月9日

加藤 正史

加藤 正史
11月10日
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鉄道ファンというのは旅はもちろん、写真や模型、デザインや仮想ダイヤなど幅広い。この点では現代のモータリゼーションの主役である自動車に勝っているように思います。定時・安全運行へのこだわりは大事にしたいものです。

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