東芝がメモリー以外でも半導体で攻める

パワー半導体で増産投資を加速

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加賀東芝エレクトロニクス(手前)
 東芝は自動車向けを中心とした需要増をにらみ、パワー半導体事業で増産体制を整える。2017年度中にシリコン(Si)パワー半導体の生産能力を現在比20%引き上げる。次世代の炭化ケイ素(SiC)パワー半導体では大口径化を進め、生産能力を同5倍に高める。同事業で売上高ベースで年率5%の成長を目指す。半導体メモリー事業売却後の半導体部門の中核となるパワー半導体事業の拡大は、同社の成長戦略に必須となる。

 東芝のパワー半導体事業の16年度売上高は、900億円前後とみられる。メモリーを除く半導体事業の16年度の売上高は3417億円。同事業は19年度に売上高を4400億円に、16年度売上高利益率(ROS)3%を19年度には7%にする目標を掲げる。

 パワー半導体は安定的な市場が見込める。さらに今後は電気自動車(EV)などを中心に、車載向け市場の成長が期待できる。

 17年度はパワー半導体や大規模集積回路(LSI)といったメモリー以外の半導体デバイスと、ハードディスク駆動装置(HDD)で計200億円の設備投資を計画する。そのうち最も大きな割合をパワー半導体向けの投資に充てる。

 Siパワー半導体は、前工程を担う加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)の設備改良などで生産能力を高める。加えて後工程(検査・組み立て)の姫路半導体工場(兵庫県太子町)で、設備を増設して組み立て工程の能力を上げる。

 SiCパワー半導体は姫路半導体工場で、生産ラインのウエハーサイズを従来の4インチ(直径100ミリメートル)から6インチ(同150ミリメートル)に切り替える。

 17年度中にラインの構築に着手する。ウエハーの大口径化で生産量増とコスト低減を実現し、鉄道や社会インフラシステム、自動車向けの採用拡大を狙う。

 東芝の半導体事業は、利益の8割弱をメモリー事業が稼ぐ。メモリー事業売却後の半導体事業に残るのは、パワー半導体などのディスクリートとシステムLSI。メモリー事業の売却が決まり、新たな収益の柱の育成が課題だった。

日刊工業新聞2017年11月6日

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

メモリー無き後の東芝の半導体事業は、成長戦略がまだ不透明な部分も多い。今回のパワー半導体への重点投資は、その布石ととらえられる。ただ競合のパワー半導体各社も投資を加速しており、競争激化は必至。どう差別化するか、またそのための投資を残ったインフラ事業などでカバーできるかは課題になりそうだ。LSIではデンソーとの協業強化を加速しており、その先行きも注視される。

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