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電機大手7社とも4ー9月期は営業増益だったが…

収益力はまだまだ
 経営再建中の東芝を除く電機大手7社の2017年4―9月期連結決算が31日出そろい、全社が増収、営業増益となった。同日発表の三菱電機はFA機器事業が好調で、売上高と各利益段階が過去最高となり、ソニーも営業利益と当期利益が過去最高だった。電機大手は構造改革を経て企業向け事業の重視、製品の高付加価値化といった戦略を推進した。世界経済の緩やかな回復という追い風も受け、主力事業の収益力が高まってきた。

 日立製作所は、2018年3月期連結決算業績予想(国際会計基準)を上方修正したと発表した。売上高は従来予想比2500億円増の9兆3000億円(前期比1・5%増)、営業利益は同300億円増の6600億円(同12・4%増)に引き上げた。下期(17年10月―18年3月)も引き続き半導体製造装置や建設機械が好調に推移する見通し。日立国際電気の売却が18年度にずれ込むため、当期利益予想は据え置いた。

 17年4―9月期は物流事業などを切り離した影響で売上高は横ばいだったが、営業利益は前年同期比30・2%増の3032億円と同期として過去最高。当期利益も同41・5%増の1606億円と過去最高だった。情報・通信システムや社会・産業システム、建機などの利益が伸びた。

 西山光秋最高財務責任者(CFO)は「コスト削減、構造改革が進展し、着実にキャッシュと利益を創出できるようになってきた」と評価した。

 ソニーは画像センサーや、高付加価値シフトを加速したテレビが好調。勢いは続く見通しで、18年3月期の営業利益を従来予想比1300億円増の6300億円(前期比2・2倍)に上方修正した。吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は「20年ぶりの過去最高になる」と話した。

 電機大手では、リストラ後に中核に据えた事業を伸ばす構図が鮮明になってきた。日立製作所は前期までに金融や物流事業を売却し、ITと社会インフラ事業に集中する体制を明確にした。西山光秋CFOは「構造改革が進展し、着実にキャッシュと利益を創出できるようになってきた」と評価する。

 パナソニックはカーナビゲーションシステムなど運転席周りや電池などの車載製品を主力とする事業の17年4―9月期売上高が、前年同期比15%増の6866億円となった。成長の要である車載製品が「事業拡大フェーズに入りつつある」(津賀一宏社長)と指摘する。NECは日本航空電子工業の連結子会社化などにより、主力の公共向けシステム事業がV字回復した。

 下期(17年10月―18年3月)の見通しも総じて明るい。三菱電機の松山彰宏専務執行役取締役は「中国での需要が底堅くFA機器は年内は高水準の受注が続く。急激な下げはないだろう」と述べた。

 ソニーの吉田CFOは「重要なのは利益水準を維持すること。未来の生き残りと成長に向け、気を引き締める」と強調する。各社が持続的に成長するには、主力事業の規模拡大と利益率の維持・向上を両立できるかどうかが一層重要になる。
                 

日刊工業新聞2017年11月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
1日のマーケットはソニー株が前日で10%以上値を上げ、日立は年初来最高値を更新した。ただ日経平均も上昇しており、電機株が抜けて堅調というわけではない。日立の株価1000円超えは2001年8月31日が最後。成長性に市場はまだ懐疑的だ。昨日、ニュースイッチで日立元社長の川村さん(現東電会長)のインタビューを公開したが、相変わらず日本企業の収益力の低さを指摘していた。まだまだ事業や経営のダイナミズムに欠ける。当然、各社ともこんな業績で満足しているはずはないだろう。メディアもこの電機大手のまとめ方をそろそろ再考した方がいい。コンペチターを間違うのは、企業にとって最も愚かな行為なのだから。

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