小売業で増える企業内保育所。その裏には深刻な人手不足があった

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保育所設置の動きが広がっている(セブンーイレブン・ジャパン)
企業内保育所を設ける小売業が増えている。ローソンは2018年春に、加盟店が運営事業者となり、店舗従業員の子どもらを対象とした保育園を設ける。14年から東京都品川区の本社には社員向け保育園があり、店舗で働く人の需要にも応える。企業内保育所の増加の背景には、政府が16年に始めた企業主導型保育事業がある。現場の人手不足解消の一助になるか。(江上佑美子)

コンビニエンスストア業界では、加盟店従業員向けの保育園をセブン―イレブン・ジャパンが10月に設けたほか、ファミリーマートも18年春に都内で開く。ファミマは女性の従業員や加盟店オーナーの獲得に向け、澤田貴司社長自らが説明会に登壇し、制度や狙いを説明している。

現在20万人いる店舗従業員の7割が女性だ。同社が優秀だと認定している「エクセレントスタッフ」の95%は女性だという。

現在5万人いる主婦を10万人に増やす計画を立てており、澤田社長は「『週2時間から働ける』といったことが伝わっていない。急に休むことがある点などについて、店舗オーナーら受け入れ側が理解することが重要」と話す。

高島屋は来店者が多い日曜にも店舗で働きたい従業員に対応し、11月から横浜店(横浜市西区)で日曜保育を始める。企業主導型保育事業の仕組みを活用した。同事業では運営費や整備費で、認可保育園なみの助成を受けることができる。

近鉄グループホールディングスは18年4月、近鉄百貨店の3店舗に、グループ従業員向けの保育所を設ける予定だ。一部は地域住民にも枠を開放していく。

三越伊勢丹ホールディングス傘下の岩田屋三越(福岡市中央区)は1996年から、社員向けの保育所を設けている。保育所の運営会社が幼稚園への送迎もするなど、柔軟に対応している。「働く人の意欲に応えてきた」(広報)としている。

リクルートジョブズ(東京都中央区)の調査では、9月の販売・サービス系の平均時給は998円で過去最高額を更新した。人件費が高騰している一方、それでも従業員が集まりづらい実態がある。

日刊工業新聞2017年10月24日

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江上佑美子
編集局第二産業部
記者

コストを掛けても「人でしかできないサービス」を維持するため、今後も保育所設置に乗り出す企業は増えそうだ。

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