トクヤマ、半導体材に110億円投資。それでもまだ慎重姿勢は崩していない?

多結晶シリコンなど増産。2020年度まで

 トクヤマは半導体材料事業で、2020年度までに総額110億円規模の投資に乗り出す。シリコンウエハー材料の多結晶シリコンと生産関連部材の生産増強・品質向上に着手。スマートフォンやIoT(モノのインターネット)機器向けを中心に旺盛な需要を取り込む。同社は計2000億円の特別損失を計上したマレーシアの多結晶シリコン事業を売却した。不採算事業の整理を終え、戦略投資を再開する。

 トクヤマは10億―20億円を投じ、多結晶シリコンの生産能力を現在の年8500トンから最大同1万トン弱に高める。徳山製造所(山口県周南市)の休止ラインを再稼働。高品質な半導体向けに特化し、収益を強化する。

 品質向上に20億―30億円を充て分析装置や評価機器などを更新。「イレブンナイン」と呼ばれる超高純度製品の品質を高め、信越化学工業などシリコンウエハー大手からの品質要求に応える。

 能力増強と品質向上には、マレーシア事業で蓄積した知見も転用する。マレーシアのプラントでは前工程・後工程ともに徳山製造所と異なる生産設備を採用し、高い品質と生産効率を両立する仕組みを構築した。こうしたノウハウを生かす。

 半導体生産関連の部材も増産する。フォトレジスト用の現像液、シリコンウエハーの洗浄に使うイソプロピルアルコール、研磨する乾式シリカなどの増産にも、それぞれ10億―15億円を投じる計画。

 半導体製造装置の部材である高純度窒化アルミ粉末は21年春をめどに、徳山製造所の生産能力を現在比50%増の年720トンに高める。投資額は10億―15億円となりそうだ。

日刊工業新聞2017年10月13日

鈴木 岳志

鈴木 岳志
10月14日
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積極的な投資は歓迎だが、今回は休止ラインの再稼働であり、半導体材料業界はやはり慎重姿勢を崩していない。トクヤマに限らず、シリコンウエハー関連メーカーはどこも石橋を叩いて渡るかどうかの状況だ。半導体の微細化が進んで1枚のウエハーから取れるチップ数が増えるため、半導体メーカーにとっては嬉しい限り。一方、ウエハーなど材料メーカーにとっては販売数量増に直結するわけでもなく、手放しで喜べるものではない。それに起因した材料各社の投資慎重姿勢が最近のウエハー需給のひっ迫につながっている。8月にようやくSUMCOが直径300ミリメートルウエハーの生産能力増強を決めた。盛り上がる半導体市況の陰で難しい経営判断を迫られる材料メーカーの苦悩はあまり知られていない。

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