なぜ富士ソフトが再生医療?自己細胞再生軟骨を申請へ

「ITはどんな産業、技術にも必要なプラットフォーム」(野澤会長)

 富士ソフトは再生医療製品の製造施設を増強する。年内をめどに同製品の製造・品質管理基準に適合した拠点を都内に新設する。投資額は数億円。同社は研究中の再生医療製品「インプラント型自己細胞再生軟骨」の製造販売承認を2018年1月にも国に申請する方針で、事業化に向けて並行して社内の体制整備を進める。

 建設中の施設は再生医療製品の製造・品質管理基準「GCTP」省令に適合した施設。延べ床面積は326・5平方メートルを予定し、安全キャビネット6台のほか、遠心分離機やアイソレーター、CO2(二酸化炭素)インキュベーターなどの機器類で構成する。

 高度な細胞培養に対応するため、室圧を5段階で制御し、菌や微小な塵などを室内に封じ込める機能を持つ。施設環境を監視するシステムを導入し、温度や湿度、室圧、清浄度を24時間365日観測・記録できる。

 インプラント型自己細胞再生軟骨は患者本人の耳介軟骨から採取した細胞を培養した再生医療製品で、口唇の一部に裂け目ができる先天的疾患の口唇口蓋裂(こうがいれつ)症の治療などでの使用を想定している。腸骨や頭蓋骨、肋軟骨を移植する従来の治療法と比べ、体への痛みや侵襲性が低いのが特徴だ。

 同社は05年、東京大学医学部付属病院に「軟骨・骨再生医療寄付講座」を開講し、再生医療製品の研究を開始。以降、東大から技術移転を受け、再生軟骨の実用化・製品化に取り組んできた。

 15年から有効性・安全性を評価する企業治験を開始。鼻に変形を持つ口唇口蓋裂患者9例の治験を実施し、今年5月に終了した。原井基博常務執行役員は「有害事例も発生しておらず順調にいっている。18年1月には製造販売承認を申請したい」という。

(2017/9/28 05:00)

村上 毅

村上 毅
10月02日
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IT企業の富士ソフトが、なぜ再生医療に?と思われがちだ。だが、「ITはどんな産業、どんな技術にも必要になるプラットフォーム」(野澤宏会長)という思いがある。まさに実用化の段階を迎えようとする際に、IT企業として培った効率化の技術など、同社の強みが生きてくる。

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