全自動衣類折り畳み機にみる「0から1を生み出す」家電づくり

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ、阪根信一社長に聞く

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セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社長・阪根信一氏
 ―全自動衣類折り畳み機「ランドロイド」を開発しましたが、技術的な背景をどう見ていますか。
 「ここ数年でランドロイドを開発するための部品や技術が進歩したことが大きい。具体的には人工知能(AI)やロボットモーターなどの技術が発展したことで製品化が実現したと感じている」

 ―いつごろ着想しましたか。
 「ランドロイドを開発しようと考えたのが2005年。だが、それ以前に一部の大手家電メーカーでは折り畳み作業を自動化する構想があったようだ。ただ、それは業務用製品を想定しており、家庭向け製品の普及は考えていなかった」

 ―家電大手は、なぜ実現できなかったのでしょうか。
 「当時の日本の家電メーカーは海外勢との熾烈(しれつ)な価格競争にさらされていた。開発・生産コストを抑制しつつ、高い性能の製品を消費者に提供できるかがニーズとしてあった。その後、米アイロボットの掃除ロボット『ルンバ』などが台頭し、家電にも新しい自動化の切り口があるとメーカーが再認識した。これからは創造性の高いハードウエアで競う時代が到来する」

 ―日常の作業を自動化する家電はどんなものがありますか。
 「調理の分野は可能性がある。もちろん、手間暇をかけて凝った料理を作るという食文化はなくならないだろう。だが、日常の調理作業を自動化できるのであれば、それに越したことはない」
 
 「冷蔵庫に残る材料でメニューを抽出し、調理家電と連動するようなことができるだけでも人々の面倒は減る。また、トイレや風呂の掃除などの作業も自動化できる可能性はある。まだまだ、生活の中で家電が提供できる“便利”は多い。思い切った発想が重要だ」

 ―そうした発想は大企業になると起こりづらくなるように思えます。
 「発想自体はあるだろうし、実現できる技術もある。だが、組織が大きくなることでブランドや消費者に対する影響を意識しなければならない」

 「例えば、多くのクレームに対応するため、法規以上に厳格な社内ルールを設ける場合がある。それは大企業としての影響力と責任を考えれば当然のことだ。だが、そうしたルールがあると、新規事業を創出するチームを構築し発案があったとしても、責任が重しとなり、判断が難しくなる」

 ―では、アイデアはどうすればイノベーションとして実りますか。
 「今の(当社の)形が一つの答だ。ベンチャーがアイデアの発案や画期的な開発を行い、量産や普及の段階になった際に大企業やベンチャーキャピタルが出資を行う。実際、こうした形でランドロイドは完成していった。日本でもイノベーションが起きる環境が整いつつある」

【記者の目】
 大企業の場合、画期的な発案に対して製品化までの道筋を正確に計画できる力がある。皮肉なことだが、こうした高い選別眼が採算性を過度に意識させ、製品化を阻害する要因になっている。
 一方、ベンチャーはイノベーションを生み出すことが存在意義であり、発案を形にするダイナミズムがある。ランドロイドは、まさにベンチャーの優位性を生かした製品と言えよう。今後、量産段階に入るが、大企業の経営資源を生かしつつ、ビジネスとして成立できるか注目される。
(渡辺光太)
【略歴】14年にセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(7D、東京都港区)を設立。15年にパナソニックや大和ハウス工業とランドロイドを開発した。18年春に本格的に販売する。このほか、快眠を支援する医療機器「ナステント」や、炭素繊維を使ったゴルフシャフトなど画期的な商品を発表している。


日刊工業新聞2017年9月26日

COMMENT

松井里奈
イベント事業部
副部長

阪根社長には、11月29日に「モノづくりマッチングJapan2017」で、『0から1を生み出す技術集団~セブンドリーマーズが目指すモノづくり~』と題したご講演いただきます。

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