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「工事現場の見える化、顧客からの要望が高まっている」(コマツ社長)

大橋社長インタビュー「ランドログを成功させる」
「工事現場の見える化、顧客からの要望が高まっている」(コマツ社長)

コマツの大橋社長

 コマツがビジネスモデルの再構築に乗り出す。同社が過去最大の買収額で傘下に収めた鉱山機械メーカーの米コマツマイニング(KMC、旧ジョイ・グローバル)との統合計画を近くとりまとめる。また、NTTドコモなど3社と工事現場を支援するIoT(モノのインターネット)サービスを10月に始める。建設機械市場が回復する中で、大橋徹二社長に今後の事業展開を聞いた。

 ―KMCとの事業面での統合が本格化します。
 「我々とKMCの製品群は重複しておらず、営業活動で両社の機械をセットで提案することが考えられる。お互いのサービス店の活用も見込めるだろう。顧客(の仕事)が忙しくなっているので、迷惑をかけないのが最優先だ」

 ―KMCの経営状況は。
 「需要が底に近い時点で仲間に加わったので回復できる。統合に伴って、KMCの調達費用も下がってくる」

 ―工事全般へのICT(情報通信技術)の活用を見据えて、新サービス「ランドログ」を4社で共同運用します。
 「顧客から現場の状況をもっと見えるようにする要望が高まっており、(幅広く使えるように)オープン性を持たせたほうがよい。コマツ以外の建機を管理する上でもランドログの活用が進むだろう。顧客が仕事のやり方を変えていきたい中で、ランドログを成功させる」

 ―建機市場が反転し、海外では中国の需要が旺盛です。
 「10月の共産党大会、経済方針を決める12月の中央経済工作会議が開かれるが、年内までは需要が続くだろう。その後、年間需要の4割が集中する春節明けの商戦が控える。工作会議の方針によって、顧客の購入動向が決まってくる」

 ―インフラ投資が伸びるインドでも需要が高まっています。
 「市場規模はまだ大きくない。30年ほど前の建機が現在でも生産、販売されていて、これでは価格が上がらずにもうからない。成長しているのは(低価格の)エコノミーモデルだが、我々はプレミアム(上位)モデルしか販売しない」

『スマートファクトリーJapan2018』
 日刊工業新聞社は「スマートファクトリーJapan 2018」を2018年5月30日(水)~6月1日(金)の日程で、東京ビッグサイトにて開催します。本展示会は、製造工場においてスマートファクトリーを実現するうえで、欠かすことのできない「IoT」や「インダストリー4.0」を搭載した情報管理システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品を展示公開いたします。
 3回目を迎える今回は「スモールスタート支援ツール」の展示分野を設けたほか、また、同時開催の「2018防災産業展in東京」との連動企画として『スマートファクトリーを支える防災産業ゾーン』、昨年開催した「IoT・AI Innovation Forum」を『IoT・AI Innovationゾーン』として、新たに2つの特設ゾーンを設けます。
「スマートファクトリーJapan 2018」【出展者募集中】
日刊工業新聞2017年9月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
KMCとの統合により調達やサービス面で比較的早く相乗効果を引き出せそうだ。中長期的に技術面での関係強化を狙う。低迷が続いていた鉱山機械の需要も底打ちし、巻き返しへの追い風が吹く。KMCが加わり、鉱山機械事業が米キャタピラーに匹敵する規模に拡大しており、両社の争いが激しくなりそうだ。 (日刊工業新聞第一産業部・孝志勇輔)

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