今なお女子大が求められている理由は「主人公」になれるから

津田塾大学学長・高橋裕子氏に聞く「津田スピリット」

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写真はイメージ
 女性のさらなる活躍推進へようやくかじを切った日本だが、いまだ先進国の水準には質、量ともに及ばない。それでも女子大は一貫して女性の教育に徹し、人材を輩出し続けてきた。名門・津田塾大学には、創立者の津田梅子から脈々と受け継がれる“津田スピリット”がある。高橋裕子学長に、女子大初の「総合政策学部」を新設した狙いや女子大の意義などを聞いた。

 ―新指針「津田ビジョン2030」を策定中です。その骨子は。
 「スローガンは『変革を担う女性』だ。2度の米国留学を経て日本女性ために道を切り開いた津田梅子に学び、広く豊かな教養と、深い専門知識を備えたオールラウンドな女性を育てる。現代の日本で女性の置かれている状況を理解した上で、女性の力で社会を変える。国際化が大きな柱になる」

 ―総合政策学部で行う教育の特徴は。
 「都心に新たに設置した千駄ケ谷キャンパス(東京都渋谷区)で、実践的な英語とデータサイエンス、社会科学を必修として学び、課題解決型の学習をしてもらう。将来は官公庁や企業はもちろん、さまざまな分野でよりよい社会の仕組みやルール作りを担っていただきたい」

 ―5年の修士プログラムも魅力ですね。
 「数学科と情報科学科に学部と大学院修士課程を併せて5年で修了できるコースを設けている。4月からは英文学科にも広げた。英語だけでなく第2外国語で留学を目指す学生のため、今後は海外提携校も一層増やす。海外で経験を積んだコンピューターサイエンティストなど、ニーズの高い人材を送り出したい」

 ―今なお女子大が求められている理由をどう考えますか。
 「少人数教育の女子大では、すべての女子学生が主人公になれる。20代前半のこうした経験は人生観をガラリと変え、自信となってその後の人生を形づくるはずだ。多様な女性のロールモデルを見ながら、伸びしろの大きな学生生活を送れることが女子大の強みと言えるだろう」

 ―欧米の女子大との違いは。
 「例えば米国の女子大は女性の社会参画に力を入れており、入学者もそうした意識の高い学生が多い。日本では、女性が『守られる空間』として女子大をみなすことがあるが、米国では女性を『力強くする空間』とみなす。違いはあるが、日本のよい伝統は受け継ぎつつ、社会に新しい流れを作り出すバイタリティーあふれる女性を育て輩出していくつもりだ」
津田塾大学学長・高橋裕子さん

【略歴】高橋裕子(たかはし・ゆうこ)80年(昭55)津田塾大学芸学部英文学科卒。83年米カンザス大M.A.取得(歴史学)。84年筑波大院修士課程修了。89年米カンザス大Ph.D取得(教育学)。90年桜美林大専任講師、93年助教授、97年津田塾大助教授、04年教授。16年4月より現職。広島市出身、59歳。

【記者の目/日本の男女格差指数に危機感】
世界経済フォーラムによる2016年の日本の「ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数」は144か国中111位といまだ最低ランク。ジェンダー論の専門家でもある高橋氏は、この状況に危機感を抱く。少なくとも女性が真に社会で活躍する時代が到来するまでは、女子の高等教育を担う女子大の価値は揺らがないだろう。(藤木信穂)

日刊工業新聞2017年9月7日

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

リーマンショックのあおりを受け就活が非常に困難だった時、「女子大では女子大ならではの手厚い就活サポートがあるらしい」と聞きうらやましかった記憶があります。実際はどうなのでしょうか。

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