NEC、世界一の顔認証で“世界”を攻める

セキュリティー事業の売上げ3倍に

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顔認証を活用した街中監視システム(ジョージアの内務省)
 NECは顔認証技術を中核としたセキュリティー事業の海外展開を加速する。同社の顔認証技術は世界1位の認証精度を持つとされ、さまざまな施設に設置されている。一般的なカメラで撮影された動画であっても、動いている被写体の顔をリアルタイムに認証できる。不審人物を早期に検知し事故を未然に防いだり、重要施設の出入りの際にカメラの前に立ち止まらずに認証したりできる。空港などの公共施設はもとより、大規模な店舗やイベントなど幅広い用途で海外からの受注が相次いでいる。

 NECはこのほど米キャピタル・システムズと共同で、西アジアにあるジョージアの内務省に対し、顔認証を活用した街中監視システムを納入した。同システムは6月から稼働しており、首都トビリシをはじめ、主要都市に設置される400台の監視カメラと連携する。

 監視カメラに映った人物と、監視リストに登録された容疑者や要注意人物などの写真をリアルタイムに照合。これにより「高速かつ高精度に人物を特定できる」(NECセキュリティー事業部門)という。ジョージアでは今後、全国に数千台から数万台のカメラの追加導入も計画している。

 米国ではワシントン・ダレス国際空港向けに、米国の国境警備局(CBP)と共同で顔認証システムの実証実験も始めた。実証実験はアラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空が運営する搭乗ゲートにおいて、ドバイ行の航空便を対象とし、出国者の本人確認を行っている。

 このほか欧州では、英国サウス・ウェールズ警察に顔認証システムを提供した。警察車両のカメラに映った人物と、監視リストに登録された容疑者や要注意人物、行方不明者など計50万枚の写真をリアルタイムに照合。高速かつ高精度に人物を特定できる。

 一方、中東ではトルコの工業都市、サムスンで7月に開催された「第23回夏季デフリンピック競技大会」向けに、顔認証技術を活用した入場システムを提供した。

 デフリンピック競技大会は4年に1度開催される視覚障害者のための国際スポーツ大会。会場に設置された30カ所の入場ゲートにおいて、入場者の顔画像と事前に登録された写真を照合し本人確認を行った。円滑な入場を実現するとともに、なりすまし入場や不正入場を防止し、安全・安心な大会運営に貢献した。

 アジアでは韓国のロッテワールドタワーの展望台「ソウル スカイ」に対し、顔認証システムを納入した。展望台の入り口となる地下1階の入場ゲートに設置したカメラ映像から、監視リストに登録された人物をリアルタイムに検知する仕組み。

 「入場者の安全確保やビルの効率的な保安警備に貢献する」(NECセキュリティー事業部門)としている。今後はサービス品質向上を目的にVIPの検知も予定する。
顔認証システムを搭載した警察車両(サウスウェールズ警察)

(文=斎藤実)

日刊工業新聞2017年9月5日

COMMENT

顔認証を含むセキュリティー事業の売上高は16年度に420億円を計上し、18年度には3倍の売上高1420億円を目指す方針だ。海外での受注拡大で、さらなる上積みを狙う。顔認証はNECのビジネスの“顔”になりつつある。 (日刊工業新聞第一産業部・斎藤実)

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