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四万十の宝を蘇らせた“モンブラン"ができるまで

地域経済を引っ張る地域商社、地栗の収穫量が3倍超に
四万十の宝を蘇らせた“モンブラン"ができるまで

甘さに特徴のある地栗を使ったスイーツ

 「どんな人がどこでどのような作り方をしているのか。そういう地域に根ざした背景があるものを加工し売っている。それが地域商社」と、四万十ドラマ(高知県四万十町)社長の畦地履正さんは話す。同社は栗や茶など地元で収穫した素材でスイーツなど商品開発し、ネットや道の駅、県外の生協や百貨店などで販売している。

 四万十ドラマは四万十川の中流域を舞台に、地域密着で事業を展開している。1994年に四万十川流域3町村による第三セクターとして発足し、2005年に民営化された。そのコンセプトは「ローカル・ローテク・ローインパクト」。

 地元に根ざし、そこの農産物などを使った1.5次産業で、四万十川に負担をかけないモノづくりを目指す。四万十ドラマでただ一人の社員(社長は各町村長の持ち回り)として、農協職員から転じた畦地さんは、民営化した後の2007年に社長に就任し、四万十川の自然環境と共生するそんなビジネスモデルに取り組んできた。

 代表的なところでは2008年に商品化した「しまんと緑茶」。それまで四万十の茶はブレンド用として100%静岡に送られていたが、自分達のお茶を作ろうと生産組合と取り組んだ。今では茶葉の50%以上を自らのブランド向けに消費している。

 また10年前には、およそ40年ぶりに四万十の紅茶を復活させている。四万十の十和地域では戦後から紅茶を栽培していたが1960年代には途切れていたという。

 そのほかヒット商品としては1997年に売り出した「四万十ひのき風呂」がある。間伐材の端材にひのきオイルを染みこませ、風呂場に置くだけで“ヒノキ風呂”を堪能できる。
地元の素材を使ってオリジナル商品を開発

 最近力を入れているのは、甘さに特徴のある地栗。この地域では、かつて年間で800トンの収穫があった栗だが、5年ほど前には18トンまで落ち込んでいた。

 そこでスイーツなど栗を使った商品を次々と開発。地域では栗の植樹も進めており、昨年は35トンまで回復したという。ここに枝の剪定の工夫なども加わり 今年は50トンの収穫になるという。

 「地域に昔からあった宝をもう一度見直して菓子などオリジナル商品を作り、全国や世界に広げる」と畦地は説くように、栗を使った商品開発は毎年のように手がけている。

 一度は絶えていた紅茶の生産も現在は年5トンを超えるところまで回復。地域活性化が栗林や茶畑という昔からの風景を守ることにもなっている。そして「地元産を地元で加工することで、雇用にもつながりだした」(畦地さん)。東京から移り住んだパティシエもいるという。
 
 四万十ドラマでは2007年に道の駅「四万十とおわ」の指定管理者となり、地元物産を次々と販売するアンテナショップとしても活用。年間15万人が訪れる。地元素材を使ったオリジナル商品をそろえたことで、規模は小さいながらも黒字運営を続けている。

 その実績が買われ、今年4月に京都府南山城村、7月に石川県羽咋市でそれぞれオープンした道の駅に、四万十とおわで培った運営ノウハウを提供するなど、活動の場は広がっている。
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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
METIジャーナル「地域の未来」の連載、今回は地域商社にスポットを当てています。ぜひ全文をお読み下さい。

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