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マツダとの提携余波、トヨタ・メキシコ新工場の思惑とは?

部品網見直し稼働は2020年の前半に。好調なピックアップの生産急ぐ
マツダとの提携余波、トヨタ・メキシコ新工場の思惑とは?

ピックアップトラック「タコマ」(トヨタのプレスサイトから)

 トヨタ自動車がメキシコに建設中の新工場の稼働が、当初の2019年から20年前半にずれ込む見通しとなった。トヨタが主要部品メーカーに伝えた。新工場の生産車種を当初の小型車「カローラ」からピックアップトラック「タコマ」に変更するのに伴い、部品供給網(サプライチェーン)の見直しが必要になった。メキシコから供給予定だった北米向けカローラは日本の工場でも生産する計画。部品メーカーはトヨタの計画変更への対応を急ぐ。

 トヨタは4日、マツダとの資本提携を発表し、21年稼働をめどに米国でカローラなどを作る年産30万台規模の合弁工場を建設する計画を表明した。これに伴いメキシコ・グアナファト州で16年11月から建設中の工場では、当初予定のカローラの代わりに売れ筋のピックアップトラック「タコマ」を生産する方針。

 トヨタはこのほど部品メーカーに対し、メキシコ新工場向けの生産準備を中止するよう正式に通知した。カローラとタコマはボディーや車台(プラットフォーム)といった基本構造が異なり、サプライチェーンの再構築が必要になる。

 一方、当初メキシコで19年から生産する予定だったカローラについて、米国新工場が稼働する21年までの約2年間、米ミシシッピ州の既存工場に加え日本の工場でも生産する。部品メーカーはトヨタの新工場稼働に合わせてメキシコに工場進出を決めている。今後、生産設備の変更や工場の稼働時期の見直しなどを迫られそうだ。

 北米市場では原油安を背景に大型車の販売が好調。トヨタもピックアップトラックの増産を急ぐ。メキシコのバハ・カリフォルニア州の既存工場でも18年初にかけて生産ラインを増強し、米国新工場、米テキサス州の既存工場を含めて「40万台近くを生産したい」(豊田章男社長)方針だ。
                 
日刊工業新聞2017年8月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
トヨタが工場の稼働を少し遅らせることが分かりました。マツダとの提携により、今から約2年後に稼働予定だった工場の生産品目がガラッと変わったわけなので、サプライヤーも対応に追われています。マツダとの資本提携ではEVの共同開発に注目が集まりますが、トヨタとしては売れ行き好調なピックアップトラックの増産をとにかく早めたいようです。

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