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【今週のリケジョ小町】震災の影響でエネルギー産業へ

JXTGエネルギー株式会社 玉井 七奈さん
**石油化学工場の省エネルギー化研究
JXTGエネルギーの玉井七奈さん(29)は入社以来、中央技術研究所で中長期的視野に立った研究に携わっている。現在は、石油化学工場の蒸留工程で大幅な省エネルギー化を実現する技術の実用化を目指す。大学の研究室と異なり、実用化を前提にした試行錯誤に充実感を覚える日々。ひとつの物事を突き詰める学究肌にも映るが、「いろいろなものに興味を持ち、とりあえず試したい」とも。「最近は、週末にスキューバダイビングを楽しんでいます」とほほ笑む。

震災の影響でエネルギー産業へ


「小さい頃から理科の実験は好きでしたね。夏休みの自由研究で(果物に含まれるクエン酸を電解液として使う)果物電池を作るような子どもでした。進路を理系に決めたのも、モノづくりの魅力に惹かれていたからです。技術を通じて、新しいものを生み出したいという気持ちが強かったですね」

「就職先選びでは入社する前年の2011年3月に起きた東日本大震災の影響が大きかったです。国のエネルギー産業の重要性をあらためて認識し、総合エネルギー企業を掲げる当社を志望しました。大学院(東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻)ではキャパシター(蓄電装置)の研究をしていたので、エネルギー産業とも無縁というわけではありませんでした」

今までにない技術を世に送り出す


「入社以来、『膜』を研究しています。化学品の分離・精製を担う蒸留工程は全体の工程の中で大きなエネルギー消費量を占めます。セラミックスの膜を使って脱水すれば、理論上は大幅に消費エネルギーを減らせます。膜の装置を大規模化しても品質を一定に保てるかが課題です。20年以降の実用化を目指していますが、一日も早く実現したいですね」

「所属する『先進エネルギー研究所』は今までにない技術を世に送り出す部署です。研究テーマには時流もありますが、社会に貢献できる技術を送り出していきたいです」
     

(写真=成田 麻珠、文=栗下 直也)
日刊工業新聞2017年08月14日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
すぐには結果が出ない中長期的な研究。粘り強さが必要とされそうです。

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