若手研究者の国際キャリア支援で活躍、京大の支援の仕組み

京大からゲッティンゲン大学へ派遣となった西岡千文助教(右)(京大提供)

若手研究者の国際的なキャリア構築で、京都大学の学術研究支援室(KURA)が活躍している。研究支援の専門職、リサーチ・アドミニストレーター(URA)が、ドイツ学術交流会(DAAD)とのマッチングファンドの仕組みを整え、約2年で京大から14人を短期派遣。これを経て今春から、ドイツの大学の博士研究員(ポスドク)に就く例も出てきた。志を同じくする企業財団などと連携し、学術・文化交流も手がけるなど活動を広げている。(取材=編集委員・山本佳世子) これは京大KURAのURA国際グループによる「AIDA(間)」プロジェクトだ。ドイツ・ハイデルベルクに全学欧州拠点が設置され、URA駐在となったのがきっかけだ。DAADとつながり、URAが研究訪問先の開拓など試行を手がけた。 18年に同大・DAAD双方が資金を出すマッチングファンドの制度を整え、派遣に続き19年に受け入れも始めた。国際的なキャリアを構築した若手は、将来にわたって大学の国際化のリード役になる期待がある。国連の持続可能な開発目標(SDGs)関連の共同研究で、対象は博士課程学生から博士号取得5年以内。1件100万円を上限に支援する。 具体例では学術情報を専門とする研究者が、学生時代の留学経験とは異なる形で、2週間に4カ所の研究滞在を行ってネットワークを広げた。生命系では訪問したケルン大学の研究室で、若手がポスドクとして研究を続けることが決まった。 19年にKURAは多様な機関と連携し、イベントの企画運営や登壇に京大の若手を紹介し始めた。中谷医工計測技術振興財団は、研究助成から学生の国際交流へ活動を広げており、課題など認識は同大と共通だという。 日独の文化交流を手がける山岡記念財団は活動が東京に偏っていたが、ネットワークを京都に広げられたという。KURAは文系の研究者支援も重視するだけに、学術・文化の幅広い交流を歓迎する。鈴木環URAは「社会とつながる意識は、研究資金獲得時にも求められるもので、若手研究者を刺激するよい機会になる」としている。 KURAは全国の大学のURAや担当部局にとってリーダー的存在だ。地方大学でも地元の企業財団などとの連携が可能とみられ、この活動が参考になる。また学部生などの留学・奨学金を扱う教育部局と、若手をはじめ研究者を対象とする研究部局で、今後は緊密な連携が求められてきそうだ。

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