【瓦解日産】社員の士気だだ下がり、サプライヤー興ざめ、ルノーはにんまり?

再建の要、関副COO“電撃退社”

2日の内田社長兼CEO(左)の就任会見でしっかりと握手を交わした関副COOだったが…

12月1日付でスタートした日産自動車の新経営体制が早くも崩れる。3トップ体制のうち、ナンバー3を務める関潤副最高執行責任者(COO、58)が辞任し、日本電産に社長含みで2月にも迎えられることになったからだ。日産の業績立て直し、提携先の仏ルノーとの関係安定化という二つの課題解決がスムーズに進まない懸念が強まる。 防衛大学校出身で、ゴルフでは300ヤード飛ばし「日産一のタフガイ」と言われる関副COO。多忙により休止していた「腕立て伏せ100回」の日課を副COO就任を契機に復活させたというが、業界関係者からは「新天地に向けた体力づくりだったのか」との声も聞かれる。日本電産への電撃移籍は日産社内外に衝撃を与えた。 25日までに日刊工業新聞社の取材に応じた関副COOは理由について「人生でもう一度、勝負をかけたい。社長として会社の命運を握って、大きな責任を背負ってみたかった。(日本電産に)ずっと誘われていて断ってきたが、2―3日前に決めた」と話した。同日には日産も関副COOが退社すると発表し、「本人の申し出を受諾した」と説明した。 日産は18年11月に元会長カルロス・ゴーン被告が逮捕され、後を引き継いだ西川広人氏も報酬問題で社長兼最高経営責任者(CEO、66)を9月に辞任した。こうしたトップ人事の混乱を経て、12月1日付で内田誠社長兼CEO(53)、アシュワニ・グプタCOO(49)、そして関副COOの3氏によるトロイカ体制が発足した。3氏は20年2月に開く臨時株主総会を経て取締役に就く予定だったが、それを待たずに新体制は崩壊する。 まず懸念されるのは業績立て直しへの影響だ。関副COOは商品戦略のほか、業績回復を担う。日産はゴーン被告が主導した事業拡大戦略が失敗し、20年3月期の当期利益が1100億円(前期比65・5%減)と2期連続の大幅減益になる見込み。 立て直しのためグローバルで1万2500人の人員削減や14カ所での生産ラインの効率化、米国事業の改善を柱とする事業改革計画を進める。関氏は以前から業績回復担当として同計画の策定を主導し、指揮を執る立場にある。 日産との取引の多い関東の中堅サプライヤー首脳は「関氏は経営再建に向け最も重要な人物と認識している。その関氏が去る影響は甚大で計画の行方が心配だ」と表情を曇らせる。またナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は「改革計画は作り直しになる。グプタCOO主導で策定・執行は可能」とする一方、関氏が3トップのうち唯一の日産生え抜きであることから、「日産社員のモチベーションに与えるマイナス影響は甚大」と実行面の不安を指摘する。 仏ルノーとの関係安定化に向けた取り組みがスムーズに進むかも焦点になる。中西代表はトロイカ体制について「日産とルノーとのバランスをとる意味が大きい」と説明する。グプタCOOはルノーでの勤務経験もあり同社寄りとされる。 一方、関副COOは必ずしも日産の独立性を高めることに固執していないが、ルノー会長のジャンドミニク・スナール氏に「はっきりと物言う態度が疎まれ、反ルノー派と目されている」(日産幹部)。両社いずれかに寄ったグプタ氏、関氏の上に、中立なポジションにいた内田氏をCEOとして据え均衡を図ったというわけだ。 連合トップを務めてきたゴーン被告が逮捕されて以降、日産とルノーとで主導権争いが顕在化。4月にはルノー会長のスナール氏が経営統合を迫り、それを日産が拒否するなど関係が悪化した。今は小康状態を保つが、不安定な状態は続く。関副COOが去りパワーバランスがルノー側に偏れば、再びルノーが経営統合を迫ってくる可能性はゼロではない。 日産は関副COOの代わりとなる取締役候補の選任を進める。同社は6月に指名委員会等設置会社に移行しており、指名委が選定する。関副COOは日産の推薦枠として取締役候補に挙げられており、後任は日産の現執行役から選ばれるのが順当な流れ。業績回復、ルノーとの関係安定化―。最低でもこれら二つの課題解決に寄与する経験やスキルを持つ人物が求められる。 ある日産OBは「開発、生産に通じた坂本秀行副社長(63)が適任ではないか」と話す。中堅サプライヤー首脳は「事業方針が二転三転するのは勘弁してほしい。1年以上迷走する経営を安定化してほしい」と訴える。指名委の役割は重い。

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