「安定はしているが飛躍も望めない」ホンダの現実

八郷隆弘社長

ホンダの2020年3月期連結業績(国際会計基準)は8期ぶりに減収減益になる見通しだ。インド、日本市場での4輪車販売減に加え、円高などの為替影響が収益を圧迫する。ただ自動車の2大市場である米中が弱含む中、ホンダは両市場で販売の前年超えを見込むなど逆風への抵抗力の一端をのぞかせた。一方、課題とする4輪車の収益改善は道半ばであるほか、次世代技術開発への対応が急務だ。ホンダの正念場は続く。 ホンダの20年3月期連結業績は売上高が前期比5・3%減の15兆500億円、営業利益が同5・0%減の6900億円、当期利益が同5・8%減の5750億円の見通し。従来予想から下方修正し減収減益を見込む。主要因は4輪車の販売減。インドを中心に低迷しアジアは同5・5%減の211万台、日本は同10・3%減の64万5000台の予想だ。 インドでは全体の新車市場が11カ月連続で前年割れとなっておりホンダにも影響が直撃。日本は部品供給問題により小型車「フィット」の全面改良モデルの発売を11月末から20年2月に延期することが響く。また別の要因として為替影響が1380億円の収益悪化要因となる見込みだ。 業績悪化はすでに顕在化しており、19年4―9月期連結決算も減収減益。ただ、倉石誠司ホンダ副社長は、「為替や一過性影響を除くと前年同期に比べ500億円の増益」と説明。中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ代表も「4―9月期、通期予想ともに悪くない決算だ」と指摘する。 4―9月期の米国販売は前年同期比1・0%減の83万6000台と安定感をみせたほか、同期の中国販売は全体が2ケタ減となる中、同18・7%増の78万8000台と好調。原価低減の取り組みも効果を上げた。 通期販売予想は北米、アジアでは前年割れだが、それぞれ米国と中国のみのくくりでは「前年超えを目指す」と倉石副社長は宣言する。 一方、根の深い課題が残る。4―9月期の4輪車事業の営業利益率は3・7%と低水準のままだ。18―19年にかけて生産縮小や設計効率化、研究部門の改革などを始めたが、車作りのベースを変える取り組みを含むだけに、成果は早くて21年後半からになる。 また次世代技術の対応にも手は抜けない。倉石副社長は「電動化や先進安全の技術が高度化しており、単独での技術・商品開発はスピードや経営資源の面で厳しくなっている」と説明。10月には傘下の部品メーカー3社と日立オートモティブシステムズの経営統合を決めたが、次の系列再編の可能性について倉石副社長は「イエスだ」と述べた。 中西代表は「電動車については戦略の方向性がみえたが、コネクテッドやサービス分野ではまだ取り組みが不十分」と分析する。足元の自動車市場の逆風に対抗する底力をみせたホンダ。並行して中長期視点で事業構造改革とCASE対応を加速できるかが問われる。 (取材・後藤信之)

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