単発バイトマッチングアプリ提供企業が予測する働き方の未来

連載・シェアリングサービス ユーザーレビュー神話はどこへ(4)

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 モノや空間のシェアリングに続き、人のスキルや時間を共有するワークシェアリングが広がっている。従来はデザインやプログラムなどのインターネットでやりとりしやすい仕事が中心だったが、宅配や飲食店など、実社会の仕事にもシェアが浸透してきた。(文=小寺貴之)  「ユーザーは面接なしで、働きたいときに働きたい所で働ける。将来アルバイトの9割がワークシェアに置き換わる」とタイミー(東京都渋谷区)の小川嶺社長は自信を見せる。タイミーは飲食店や倉庫などでの単発バイトと学生などの働き手をスマホアプリでマッチングする。飲食店では突発的な欠員補充に活用されている。焼肉ライク(東京都渋谷区)の募集実績は平均1時間48分で最短は51秒。成約率は8割強だった。焼肉ライクの有村壮央社長は「人材派遣に頼むと時給の5―7割増しになる。タイミーは人件費を抑えられる」と重宝する。  当日初めてのお店でも働けるように、お店は単純作業を切り出してマニュアルを作る。働き手はお店で不当な仕事まで求められたらタイミーに報告する。小川社長は「働き手とお店が相互にレビューするため、悪質なお店や働き手は残れない」という。双方にいい関係を作り、単発の仲介からリピート勤務へ切り替えを促す。小川社長は「勤務シフトに縛られず、好きなときに気に入った仕事場で何度も働く社会を作る」と意気込む。  クラウドワークスは公表される相互レビューだけでなく、マッチング調整用に再び同じ相手と働きたいかどうかユーザーから評価値をとっている。公表されるレビューの値と調整用評価値がかけ離れているケースでは管理側がサポートして実態を確かめる。  木村貢大執行役員は「ユーザーに相手が信頼できるかどうか判断を求めていてはサービスとしては役割を果たせていない。ユーザーが信頼性を気にせずに使える状態を保つ必要がある」と説明する。悪質取引の通報対応やパトロールなど、シェアリングのコミュニティーを健全に保つよう取り組む。  大切なのは受発注の双方の情報を正しく保つことだ。同種の仕事でも単価はまちまちだが、情報が正しければ双方が納得してマッチングが成立する。木村執行役員は「情報を正しく担保できればデータが残る分、実社会の取引よりも信頼にたるだろう」と指摘する。  スキルシェアの事業者によって、コミュニティーの運営方針も対策の力の入れ方もさまざまだ。まだ中小規模の事業者が多く、SNSやECのように巨大なプラットフォーマーが実質的なルールを決める状況にはない。見方を変えると多様な施策が走り、その効果を検証できる。蓄積された仲介データの解釈には情報技術と人文社会科学の知見が必要だ。木村執行役員は「企業単独では難しいものも多い。産学連携は必須になる」と指摘する。 【05】理系学生のスキルシェアが示す新たな仲介モデル(8月2日配信)

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