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迫りくるドローンの脅威、攻撃をどう防ぐ?

赤外線やレーダーなど、対策研究が急務
 飛行ロボット(ドローン)の発達が著しい。長時間飛行できるタイプや耐火型タイプが登場、価格低下も進んでいる。防災やインフラ点検、レジャー用などでなじみが深いドローンだが、シリアやサウジアラビアなどでは無人兵器、ゲリラ兵器などの開発が進んでいる。東京五輪・パラリンピックなど要人が訪れるイベントも増える中、これらの対策研究をさらに加速することが必要ではないか。

 ドローンと一口に言っても、機種は東京・秋葉原の家電量販店で買えるような個人ユースのものから、寸法数メートルの業務用など、さまざまだ。スタイルもラジコンヘリコプターのような回転翼型から、米国の無人機「ガーディアン」「プレデター」「グローバルホーク」のようなグライダー型の機体をドローンに含めることもある。グローバルホークは翼幅が35メートルに達する。

 令和の式典の際は皇居周辺に、ドローンが飛ぶのが目撃された。東京・渋谷の交差点では外国人旅行客が人混みの真上でドローンを飛ばし、警察から注意を受けている。シリアなどの海外戦場では多数のドローンに小型爆弾を積んで相手陣地を攻撃したり、故意に自爆させたりするような攻撃が行われている。

 ドローンは、ラジコンヘリより小型で低騒音なため、発見が困難だ。中国のメーカーはかばんに入れて持ち運べるような折り畳み式小型ドローンを開発している。悪意を持つ人物が交差点やイベント会場、基地付近などで使うケースも考えられる。

 ドローンの脅威に対し欧米やイスラエルなどはジャミングや妨害電波で飛行できなくさせたり、ロケット弾などで撃ち落とす方法を開発中だ。だが妨害電波は自国の通信機器に悪影響を及ぼす可能性があるほか、小型ドローンを同時に数十機使うような攻撃には対処しにくい。

 南西諸島などの島しょ・離島防衛では広大な面積を少人数でカバーすることが求められる。ドローンはこの目的に有効だが、攻める側にとっても見つけにくい、安価など便利な点は多い。赤外線やレーザーなども含め、対策研究が急務だ。

日刊工業新聞2019年5月27日(オピニオン)

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